「第24回PGAティーチングプロ選手権大会 新宝塚カントリークラブカップ2022」(6,537ヤード/パー70)の最終ラウンドは、首位と3打差、5位からスタートした小西勇輝が5バーディー1ダブルボギーの67とし通算2アンダーで大会初出場、初優勝を飾った。25歳での優勝は大会最年少記録を更新。優勝賞金100万円に、新宝塚カントリークラブ理事長賞としてベストスコア賞10万円、副賞として新宝塚カントリークラブからゴルフバックとボール、ミドリ安全より腰部保護ベルト一体型ゴルフパンツMIDORI PF1、さらにソニーネットワークコミュニケーションズからソニースマートゴルフセンサーが贈られた。首位3打差2位には2017年大会覇者の澤口清人(41・狭山GC)がフィニッシュした。
第1ラウンドは首位2アンダーに力丸勇気と澤口清人が並び、首位と3打差には14名がひしめく大混戦。雨風が影響したことで、コンパクションが仕上がって、コース攻略が難しくなった中で、小西は3バーディー・4ボギーで初日を終えていた。
最終ラウンドがスタート。インターネット配信では最終ラウンドの模様が生放送され、小西はスタート前のインタビューで「生徒さんが中継を見てくれていると思いますので、期待に応えるためにも優勝狙います」とはっきり目標を口にしていた。気持ちを新たに1番ホールのティーショットを放った。自信ある飛んで曲がらない自慢のドライバーショットは快音を奏で、歯切れのいいプレーが続き、2、5、7番パー4ホールで順調にバーディーを奪取。フロントナインはボギーなしのスコアで一気に首位に躍り出た。バックナインでも12、14番パー4ホールでバーディーとスコアを順調に伸ばし単独首位に立つ。ところが17番パー4ではティーショットミスでまさかのダブルボギーとしたが、2位の澤口とは余裕の3打差。後続を突き放した形で最終ホールを冷静にパーでまとめ、24代目チャンピオンの座に輝いた。
アテスト後、チャンピオンとして放送ブースに着席し「ほんとうに嬉しいです。最初から優勝を狙っていたので、最終ラウンドは勝ちにいきました。2次予選でトップ通過してから、優勝だけを目指していました。まずは生徒さんにこの優勝を報告したい」と、画面の向こうで吉報を待っているレッスン生の気持ちを慮った。
今年1月1日付けでPGAティーチングプロB級会員として入会。現在は千葉県船橋市にあるレッスンラウンジで、競技ゴルファーを対象にしたプライベートコーチという肩書でレッスンを行っている。技術面に加え、競技中はどうやってゲームマネジメントをするか、ラウンドレッスンを通じ様々なシーンを想定してアドバイスをしている。レッスンにあたり、レッスン生のヒアリングを丁寧に分析し、見つけた課題から一打をどう減らすかと個々のレベルに見合ったレッスンを展開している。小西のレッスン歴は約1年。PGA入会して間もないが、どのように競技ゴルファーに向き合っているのだろうか。
実は東北福祉大学ゴルフ部出身で、同期には2021年レギュラーツアー参戦4試合目で「ジャパンプレーヤーズ選手権」に優勝した片岡尚之と同期生でもある。ゴルフ部時代は副キャプテンを務めていたが、4年の時に競技者としてではなく、選手をサポートする側でゴルフに携わりたいと決意したという。大学卒業後にティーチングプロB級テストを受験、1年間PGAのゴルフ理論を学び、今年からPGA会員として活動している。
初めて参加したティーチングプロ選手権だが、学生時代に培った『競技者』という経験値が活き、初優勝タイトルを手にすることができた。このタイトルで競技に向き合うレッスン生の、驚き喜ぶ顔も浮かんでくる。「ゴルフを通して人を幸せにしたい」という目標を一つ達成できたことで、これからのレッスン活動にも自信がついてくる。「日本プロ選手権にも出場できることは大きな励みです。ゴルフで生きる道はそれぞれ違いますが、同期で活躍している選手と同じフィールドに立てるのはすごく新鮮ですし、来年の大会までにはもっと自分の技術を磨きたい」と目を輝かせた。
競技ゴルファーにゲームマネジメントをアドバイスする「プライベートコーチ業」に、今回の優勝により実績を加えることができた小西。この2日間を乗り切ったという自信を胸に、これからもレッスン生にゴルフする喜びを与え続けるだろう。