「この秋シーズンにグリーンコンディションを最高の状態に仕上げてくださって、コースのクオリティの高さに歯が立ちません(笑い)。ピンポジションも手前エリアが多かったので、マネジメントとグリーンスピードにかなり苦戦しましたし、最後まで必死でした」としのいだ一日を澤口は振り返った。2017年大会覇者も予選会を勝ち抜いてきた。「歴代チャンピオンとして、下手なプレーは見せられない」とプレッシャーもかかる日々だった。第1ラウンドを終えて「安全にマネジメントに徹しました」と首位に並んだ一日を振り返った。
アウト1番ホール最終組で朝10時にスタートした。コースは強風が吹き荒れている状況だった。1番パー4は484ヤードの上りホールで、風向きによっては難易度が高くなる。
澤口はようやく3打目をグリーンオンし、2.5メートルのパーパットをしっかりと沈めた。「スタートホールからしびれました。スーパーパーセーブがあったから、残りのホールも乗り切れました」と澤口は振り返った。3番パー5では奥から2メートルをバーディーでスコアを伸ばす。前半最後の9番パー3は打ち下ろしのレイアウト。しかし練習ラウンドでは経験しなかった突風が吹き、ボールは池へ吸い込まれダブルボギーと不運が重なってしまった。後半は風や雨に見舞われさらに試練がつづいたが、澤口はドライバーショットを低く打ち出し、フェードというよりもインテンショナルスライスを打ち分け、3つのバーディーを奪取し、68ストロークで首位タイに並ぶことができた。
2018年に房総カントリーで開催された日本プロに出場した。夢のステージであこがれていたツアープロと共に戦ったが78、74でカットラインに5打足らず予選落ち。応援に駆けつけてくれた狭山ゴルフ・クラブのメンバーさんたちには申し訳ない気持ちで一杯だった。しかし、この時にティーチングプロ選手権優勝者が挑んだ歴史の中では、カットラインにあと5打というベストスコアという成績。澤口の悔しい経験は、今年の絶対的な自信になって今に生きている。
「今回はトップ10入りできれば、ベストかなって思っているんです」と澤口は謙虚な思いを口にした。日本プロで悔しい経験をしてからというもの、ツアーへの想いはますます強くなった。しかし明確な「優勝」を打ち出すと、プレッシャーからか成績はますます遠のいていった。「予選会の成績では『優勝』はおろか、自分のゴルフがわからなくなっていました。そこでゴルフの基礎を見直したことにしたのです」。澤口は改革の時期だと受け止め、マネジメントを徹底させることにした。例えば100ヤード以内であればピンを狙う。120ヤード程度の距離は、グリーンセンター狙いで十分だという指標を守る。そうした一連の流れによって、バーディー4、ダブルボギー1で最小限にミスを抑え、初日首位タイスタートを切ることができた。
澤口は22歳の研修生時代から所属する狭山ゴルフ・クラブにかれこれ18年お世話になっているという。4年前日本プロ出場で、会場にクラブメンバーさんが応援に駆けつけてくれたことに感謝を忘れないでいる。「できれば優勝をして、まだ日本プロに挑んでみたいですが、今は自分にできることをきっちりやり抜きたいです」と悔しさを今年の好発進に生かしたい。