最終日最終組でスタートした久保勝美(55)が、意地を見せた。1番ホールでバーディーパットをねじ込んでから、10ホール連続でパーセーブ。12番ホールで、ようやく2つ目のバーディーを奪う。15番ホールで首位の盧建順が、この日2度目の3パットを打ち、久保は首位に並んだ。
しかし、首位の座に就いたのは1ホールだけだった。16番パー3ホールで盧がすぐにバーディーを奪ってバウンスバック。久保が1打差を追う展開で迎えた17番パー4ホールの2打目。ピンまで141ヤード。「右からのフォロー風で、エッジにギリギリ落としさえすれば下り傾斜でピンに寄って行く。そう考えて9番アイアンで打ちました。あと1、2ヤード足りなかった」。ボールはグリーン左手前バンカーに吸い込まれ、打ち出した3打目は盧のボールマークの先に止まった。
「盧さんのバーディーパットと同じようなラインを僕が先に打つ結果になってしまい、おまけにショート。それを見た盧さんがしっかり沈め、僕がいい先生で盧さんが良い生徒になったんですよ。『(ラインを見せてくれた)先生、ありがとう』って盧さんが声を掛けて来たから、ホントに良い生徒だねって言い返しました(笑)」
17番ホールでのボギーで、盧には3打差に広げられ、同じ最終組の倉本昌弘には1打差に詰め寄られてしまった。
「(PGA倉本)会長が、あと1打差、あと1打差と聞こえるように呟くんですよ。逆転優勝は無理でも、せめて最後はバーディーを獲るぞ!と燃えましたよ」。
3打目を1.5メートルに着け、バーディーフィニッシュ。3バーディー・1ボギー70、通算12アンダーで久保は2位の座を鈴木亨と分け合ったのだった。
「ショット、パットが良くなって来たので、(残る課題は)コースマネジメントですね。まだ試合があるので頑張ります」と新たなる闘志を燃やしていた。
(PGAオフィシャルライター 伝昌夫)