「パットラインを逆に読んでばかりいました」。スコア提出所から出て来た久保勝美(55)は、頭を掻きながらそう言って悔しがった。
前半は9ホール目のバーディーでスコアを一つ伸ばす。ハーフターン後の10番ホールでもバーディーパットを沈め、15番ホールで3つ目のバーディーを奪取した。迎えた最終18番パー5ホール。ワンピンほどのバーディーパット。「フックラインだと読んだものの、カップの向こう側からはストレートにも思える。しっかり読み切った感なくパットに臨んでしまい、結果はショートですよ」。この日のパットを象徴するプレーでフィニッシュ。3バーディー・ノーボギー69、通算10アンダーで2位の好位置をキープし、明日の最終日も首位を走る盧建順とともに、盧との3打差は縮めることも広がることもなく、「予定どおりの最終組」(久保)でラウンドする。
第3ラウンドの前夜、お世話になっている知人から電話が入った。「敵は自分の心の中にある」。その忠告をラウンド中に何度も思い出しては、ショットに臨んだ。「60台のスコアはマークできたし、常に目標としているノーボギーゴルフも実践できましたから、合格点をあげられるかもしれません。僕はいつも2位狙い。1位にいるはずの(プラヤド)マークセンは今回1位にいない。6打差を着けているから逆転されることはないかな」と、2位当確をほぼ手中に収めたような口ぶりだが、まだ残している戦いもある。
「心の中の敵との勝負・・・今日のところは、引き分けですかね。明日は勝って終わるようにします」。心の中の敵に勝つことで、自ずと逆転での公式戦優勝がもたらされる。
(PGAオフィシャルライター 伝昌夫)