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シニアツアー

〔2R〕「お手本ゴルフ」を展開した湯原が6アンダーで単独3位

2017年10月06日
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 深いラフ、硬く速いグリーン。タフなコースセッティングが施された公式戦の舞台で、湯原信光(60)が「お手本ゴルフ」を展開した。4バーディー・ノーボギー68でフィニッシュし、通算6アンダーをマーク。5位タイから単独3位にランクアップした。

 前試合セヴンヒルズカップでは、12位タイと今季のベストフィニッシュを遂げ、好調さを持続して、この公式戦を迎えたのだ。

 昨年のシニアツアー終盤戦「富士フイルムシニア」初日、湯原はアクシデントに見舞われた。臀部の筋膜を痛めてしまったのだ。試合を途中棄権しただけでなく、その後3試合を欠場せざるを得なくなった。賞金ランキングは43位に留まり、シード権を逸してしまった。そんな経緯もあって、今年は生涯獲得ランク20位以内の資格でツアー出場している。

 一時は手術を受けなければならない危機もあった。だが、ツアー連戦中は月曜日に、オープンウイークでは一日置きに臀部のケアに努めた。その甲斐あって容態は快方に向かい始め、手術を回避できた。

「先週くらいから心配がなくなり、体に負担を掛けずにプレーできるようにもなりました。飛距離が元に戻って来たしね」と湯原は目を細める。

 3週前には、今季モデルのアイアンが手元に届いた。オフセットを減らし、ソールのバウンス角2度をさらに2度多くした「ボールが上がりやすい」(湯原)モデルだ。即戦力の武器を試合で使い慣らし、ラウンド数を重ねるごとにイメージどおりのショットが打てる回数も増え、それに比例して成績も上向いて来ていたのだ。

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 ツアープロである傍ら、湯原は東京国際大ゴルフ部の監督も務めており、二足の草鞋を履いている。湯原イズムを教え込んだことで、関東学生秋季対抗戦Bブロックで男子が優勝、女子が2位の成績を収めた。教え子たちの活躍で「理事長からは『(学生たちに)負けずに頑張ってください。お手本を見せてください』と励まされ方が変わって来ました。教えているのは自分自身(のゴルフで)も気になっていることなので、自分を見つめ直すことにつながっている」と湯原。ツアー転戦でゴルフ部員たちへの指導時間はそれほど多くは割けないが、ゴルフを伝授するのは楽しく、やりがいがあるという。

 同部にはナショナルチーム入りするほどの実力ある選手はいないが、団体戦では選手それぞれが実力以上の力を発揮する。名誉と誇りを持ってプレーする姿や思い入れの強さ、チームワークという総合力の高さに監督の湯原は驚かされている。

「ゴルフは距離を打つゲーム。どの範囲にボールを運ぶのが適切なのか」。ゲームマネジメントの重要性を監督として日々指導している。それだけに、公式戦ならではのタフなコースで、その「お手本ゴルフ」を実践するのが最高の教えとなる。この日の4バーディー・ノーボギーのゴルフは、湯原監督として範を示したと言えるだろう。

 決勝ラウンドに向けて「楽しみがどんどん増えて来た。ここから本番が始まる。学生たちの励みになるように心して掛かりたい」と湯原は気を引き締めた。

 明日からの36ホール。選手であり、大学ゴルフ部監督でもある湯原の真骨頂を披露する舞台は、整った。

(PGAオフィシャルライター 伝昌夫)