久々にボードの上位に「湯原」の名前が上がった。湯原信光(62)が、4アンダー68で首位に1打差6位につけた。
「最後、失敗した!」とスコアカード提出所へ。4アンダーできた最終18番パー5、第2打でグリーン手前まで運んだ。日陰になって見えにくい場所だったため、本人はパターをもって2打地点から歩いてきた。「乗ったか、カラーだと思った」というが、傾斜を転がってグリーンから少し離れていた。「ピンまで40ヤード近くあった。いいや、と思ってパターで打ったんだけど、そんなパター、したことないよね。当たらなかった」と、6,7メートルほどショートしてピン手前のカラーまでしか行かず、首位に並ぶチャンスを逃した。
それでも、ここ最近では「いいゴルフだった」という。イーブンで折り返して、インでは12番で奥のカラーから8メートルを入れ、13番ではOKについた。16、17番ではともに1.5メートルにつけ、ショット、特に本来のアイアンの切れが戻ったゴルフを展開した。「5アンダーにしたかったけど、しょうがないよね。年も年だし、暗くなって陰になってくると見える景色が変わってきちゃう。最後もそんな感じだった」と、失敗の踏ん切りはつけている。
このところ、体と相談しながらのゴルフが続いていた。2016年富士フイルムで背中の筋断裂を起こして棄権。その後もだましだましゴルフをしていたが、昨年のこの大会第1ラウンドでまた同じところを筋断裂して棄権した。今年の2月にニュージーランドで少しずつゴルフを始めて、ようやく「戦列復帰」。超短波を利用した治療も継続している。「でもどこかに怖さがあって、振れなくなる」と、いつ再発するかという恐怖心との戦いもあって、今年もマルハンカップ太平洋クラブシニアで4位になったが、50~60位台が多く、賞金ランクも42位に低迷している。
東京国際大ゴルフ部監督との二足のわらじ。監督業と自分のゴルフの関連性は?「ない。まったく切り離している」という。ただ、学生たちが突然応援に来ることもある。「日本シニアオープンでも来てくれたんだよ」と、そこはうれしそうな表情を見せた。
シニアツアーでは2010年皇潤クラシック以来優勝がない。「このところ、背中がよければちゃんと当たる、という感じのゴルフ。今日は調子がよかった。だから、問題は体。最後まで持ってくれたら、ゴルフをする方法は知っているから」。技術の引き出しをたくさん持っているだけに、それを取り出せるかどうか、が残り3日の課題になる。
(オフィシャルライター・赤坂厚)