清水洋一(57)が、この日のベストスコア7アンダー65をマークして、通算6アンダーで首位に2打差2位に浮上した。
「ショットが安定していました。距離感も方向もいい」と振り返ったが、「ノリノリ」という訳ではなった。インスタートの前半は首をかしげる連続だった。チャンスを外しまくり、14番で1.5メートルを入れてやっとバーディーが先行したが、15番で2メートル弱のチャンスを外してがっくり。引きずったのか、16番パー3ではロングパットを2.5メートルもショートして3パットボギーと、なかなかエンジンはかからなかった。
17番で7メートルが入り、18番パー5では第2打を花道まで運んで第3打で50センチにつける連続バーディーから、やっと笑顔が出るようになった。アウトに折り返してからは4番でOKにつけるなど5バーディー。特に上がり2ホール連続バーディーと、第3ラウンドにつながる上がり方をした。
「今日は男性のキャディーさんがついてくれて、最初はラインが合わなかったけど、ちょっとキャディーさんにも聞くようにしたら入るようになってきました」と感謝した。
「久々に内容もいいし、このコースでこんなスコアが出てうれしい」という。一昨年のこの大会、「今でも覚えている」最終日2番ホールで、ラインを読もうとした際に右ひざの内側に激痛が走った。「そのうち痛みが消えたので気にしていなかったんですけど」というが、徐々に悪化していった。かばうようになって、成績も落ち、2017年賞金ランク5位から18年16位、19年33位と下がっていった。
今オフに検査したところ「右半月板断裂」の診断。「MRIを見たら切れていました。手術とか考えたけど、2月からリハビリというか、周りに筋肉をつけるトレーニングして少し痛みが和らいできて。手術はやっぱり不安だったので…」という。2週前に日本シニアオープンでまた痛みが出てきて、この大会の練習ラウンドの際には足を引きずっていた。「かばう歩き方になって、みんなからも大丈夫かって言われます」という。今はテーピングとサポーターを欠かさない。
シニア入りして8年目のシーズン。レギュラー時代は実績を残せず、シニアで何とか1勝を目指しているが、これまでチャンスがありながら「悔しい思い、いっぱいありますね」と、あと1歩で届かない試合が何度もあった。
2打差は2日間あれば十分逆転できる少差。「まだ明日(台風の影響で)できるか分からないので、日曜日が勝負になるかと思います。久しぶりにいいところでプレーできるので、勝ちたいです…もう8年ですもんね、勝っておかないと」。そのためには?「みんなが協力してくれれば(笑)」。そうじゃなくて。「はい、自分でしっかり伸ばして、つかみ取りたいと思います」。
けがなどがあると、不思議とゴルフがよくなることも多い。巡ってきたのは、日本タイトルというビッグチャンス。言葉通り、しっかりとつかみたい。
(オフィシャルライター・赤坂厚)