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シニアツアー

〔News/前日〕シニアルーキー山崎克彦が目指す「日本一ゴルフがうまいラーメン屋」

2022年10月05日
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 シニアプロ日本一を決める「第61回日本プロゴルフシニア選手権大会 住友商事サミット杯」が10月6日から4日間、茨城・サミットGCで行われる。通常のツアー競技よりも多い120人が参加する。その中でシニア1年目の地元茨城県出身、山崎克彦(51)が出場。レギュラー時代に果たせなかった夢をかなえられるか。

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 シニアツアー1年目の山崎が目指すのは「日本一ゴルフがうまいラーメン屋」だ。

 異色の経歴の持ち主でもある。茨城県小美玉市出身で、サミットGCは「よく回っています。好きなコースですし、自分に合っていると思う」と意気込む。

 地元のゴルフの名門校だった水城高校で全国団体2位にもなった。後輩には片山晋呉や宮本勝昌らがいる。卒業後に水戸グリーンCCに研修生として入り、21歳で合格。しかし、レギュラーツアーでは芽が出ず「ツアーは1年だけで、(生涯獲得賞金は)20万円そこそこ(23万4500円)で、あとは予選落ちでしたんで」という。39歳の時にツアーを断念。始めたのはラーメン屋だった。

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「元々ラーメンが好きで、試合でいろいろなところに行ってもおいしいラーメン屋を聞いて食べ歩いていた。ゴルフをやめたらラーメン屋をしようと思っていたんで」という。ちょうどラーメン屋を開店しようとしていた知人に頼んで、店の立ち上げから修行をした。自身の店の立ち上げには「ネットや本などを見て、自分が食べ歩いてきた経験から味をつくり、徐々に良くしていった」という。

 「麵屋むじゃき」をオープン。鶏白湯魚介のスープが受けて、いまではつけ麺店なども含めて7店舗を持つラーメンチェーンのオーナーになった。従業員もアルバイトやパートを含めると100人ほどを抱えている。また、ゴルフ工房のショップ「ゴルフお直し本舗」も開いた。

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 商売が軌道に乗ってきて時間に余裕ができても、五十肩になったこともあってゴルフをやろうとは思わなかったという。マラソンを始めて、フルマラソンにも「6,7回出ました」という。そこで足腰が鍛えられた。昨年9月に知人にゴルフに誘われて10年ぶりにゴルフをした。「ひどかった。90ギリギリぐらい。でも新しいクラブを買ってしまったんで、やめるにやめられないなと思いました」と、やっとゴルフに気持ちが向き、シニアツアーを目指すことにした。

 クラブは10年前より易しくなった感じがしたが、マラソンをやっていたこともあって体重は59キロ(175センチ)で「飛ばなかったので増やしました」と今は68キロになっている。ショートゲームがなかなか元に戻らなかったが「何とか間に合って」と昨年12月のQT1次予選に出て通過。最終予選でも26位になった。

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 今季開幕戦「金秀シニア」でシニアツアーデビュー。20位に入った。その後は試合に出られなかったが、日本シニアオープンでは第2ラウンドで9位につけた。「1.5ラウンドまでよかった」と最終21位だったが、納得のいく2試合をしてきた。

 今度はシニアプロ日本一を決める舞台。「地元なので、みんなから応援に行くと言っていただいています。たぶん土日に来られると思うので、最低限の目標が予選通過です」という。「日本一ゴルフがうまいラーメン屋を目指しています。ライバルは分からないんですけど、たぶん今は3本の指には入っているとは思います」と笑う。でもこれに勝ったら決まりでは?「決まりですね」。目標達成といきたい。

(オフィシャルライター・赤坂厚)

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