NEWS
シニアツアー

【News/大会前日】シニア初勝利をかけて“秋男”横尾要が「日本プロゴルフシニア」に挑む

2023年10月05日

 昨年8月にシニアデビューした横尾要は、今季の開幕戦で2位タイと上々な滑り出しをみせた。しかし、その後はなかなか上位に顔を出すことができず、以降の最高位は8月「マルハンカップ太平洋クラブシニア」の9位タイ。現在の賞金ランキングは23位だ。レギュラーツアーで通算5勝を挙げている男としては、現状に物足りなさを感じているのではないだろうか。

「いえいえ、そんなことはありませんよ。シニアツアーのレベルが高いことは分かっていましたし、飛距離が求められる現代ゴルフでは、僕が安定した成績を出すのは難しい。先月の『日本シニアオープン』でマークセンと一緒の組でプレーしましたが、大人と子どもくらいの飛距離差がありました。自分がかわいそうになりましたよ(笑)」。

 「50歳を過ぎてから飛距離を伸ばすのは厳しい」と、達観したようなコメントをする横尾は、イメージ通りのプレーができなかった時も、「ゴルフはミスのスポーツ。イライラせずに次頑張ろう」と考えるという。レギュラーツアー時代は、「すぐにカッカしていた」という横尾が穏やかになったきっかけは、アメリカツアーに参戦した2001年だそうだ。

 渡米当初は、飛行機での移動が非常にスムーズで、国内移動なら数十分前に空港につけば問題なかった。そんな状況が一変したのは9.11同時多発テロ以降だ。セキュリティが一気に厳しくなり、最低でも2時間以上前に空港に到着しなければいけなくなった。

「アメリカ国内では僕は外国人だし、ツアープロは片道チケットで移動します。片道切符の外国人って、空港スタッフから見たらめちゃくちゃ怪しいんですよ」。

 相手がいくら横柄でも、反抗的な態度や表情を見せれば飛行機に乗れなくなる可能性がある。9.11以降はあらゆる場面で、思い通りにいかず、我慢しなければいけないことが増えていった。

「丸くなったのは、その経験をしてから。今でもイライラすることはありますが、昔に比べると感情を抑えられるようになりました」。

 多くを求めず、感情をあらわにしない。そんなスタンスで2023シーズンを過ごしているが、涼しくなっていくこれからは、横尾のシーズンだ。

 レギュラーツアー5勝のうち、9月1勝、10月1勝、11月2勝と、秋に4勝をマーク。また、優勝には1歩届かなかったが、2005年にタイガー・ウッズと4ホールに及ぶ激闘を演じたのもの11月の「ダンロップフェニックス」だった。

 「確かに秋は好きですね。暑いよりも涼しい方が断然プレーしやすいです」。本大会前日のプロアマ大会は雨が降っていたこともあり、多くの選手が「寒い、寒い」と言っていたが、横尾は「快適にプレーできました」と笑顔を見せていたのが印象的だ。「日本プロゴルフシニア」でシニアツアー初勝利を手にするか、 “秋男”のプレーに注目だ。