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シニアツアー

【News/FR】「勝者に拍手でしょう!」グッドルーザー山添昌良、1打差単独2位で終戦

2023年10月09日

「残念でした。でもね、相手は17番バーディ、18番バーディで上がってきていますから。自分も18番はバーディですからね。彼(タマヌーン・スリロット)に拍手でしょう」。

 スリロットの最終ホール。2.5メートルのバーディパットを入れれば優勝、外せば山添昌良とのプレーオフという状況で、スリロットがウィニングパットを決めた。ひと組前でホールアウトしていた山添の姿はマスター室前にあった。その位置からは、18番グリーンの様子を伺うことはできない。だが、ギャラリーの大歓声で自分が1ストローク届かずに敗れたことを察知した。

「そりゃプレーオフしたいと思って待っていました。でも仕方ないですね。これが勝負です」と、悔しさを滲ませる。

 初日、2日目でトップに立っていた山添は、3日目を「73」として、1打差の4位タイで最終日を迎えた。

「グリーンが日に日に硬くなっている」と前日にコメントしていたが、最終日は少々勝手が違ったようだ。「昨日より少し重く感じました。全然届かなくて。でもしっかり打ったらいっちゃったり。前半は距離感に苦しみました」。

 スタートホールでバーディを奪うも、2番でボギー。その後はパーでしのぐ展開に。ようやくイメージ通りに打てたのは、10番だった。「ピンの右、4~5メートルにつけました。真ん中からカップに入って、よし!という感じ」。

 しかし、11番パー3のティショットでグリーンを外し、流れを引き寄せることはできなかった。「やっぱり風が難しかったです」。2日目、3日目に手こずったクルクルと回る風に、最終日も翻弄された。

「15番の2打目でもクラブ選択に悩み、結局グリーン奥に外してパーオンできず。16番は右からのフォローだと思ったら全然逆。右からのアゲインストで、ショートして、手前のバンカーに入りました」。

 ジャッジミスはあったものの、持ち前のショートゲームの巧さで難局を打開して、11番から17番でパーを拾い続けた。17番終了時点でトータル8アンダー。すでにホールアウトしている宮本、ひとつ後ろの最終組スリロットと同スコアだった。

 最終ホールはパー5。最低でもバーディで9アンダーまで伸ばし、宮本に差をつけてスリロットを待ちたいところだ。ティショットでフェアウェイをとらえ、次打で2オン狙うと、ボールはグリーン手前にオン。20メートルある長いイーグルパットを残した。

 実はこの時点で、スリロットは17番をバーディとしており、山添に1打リードしていた。しかし、そのスコアが18番グリーン横のリーダーボードにまだ反映されていなかったため、山添はプラポールが8アンダーの同スコアのままだと思っていたのだ。「バーディならプレーオフ。もしかしたら、そのまま優勝できるかもしれない」と思いながら打ったファーストパットだったが、「正直、どうやって打ったのか覚えていないくらい緊張していたんです」と打ち明ける。この超ロングパットをカップそばに寄せ、2パットのバーディ。9アンダーでホールアウトした。

 結果、9アンダーで18番を迎えたスリロットが最後にバーディを奪って10アンダーに。山添の長い4日間は単独2位という順位で終了した。この大会で見つけた課題は風の対策。収穫は「たくさんありすぎてひと言では言い表せない」。

 昨年は未勝利に終わり、賞金ランキング29位。30位以内に与えられるシード権をギリギリ保持して今シーズンを戦っている。前半戦は昨年の不調を引きずっていたが、「日本シニアオープン」(2位タイ)から調子は上向きだ。

「2試合続けてこの順位でゴルフができたのはとても幸せなこと。シニアの試合で4日間プレーするのはなかなかない。良い経験をさせてもらいました」。

 今年の11月には、開催時期が変更された「すまいーだカップ」も控えている。過去に連覇した相性の良い大会だ。今回は惜しくも優勝に手が届かなったが、19年以来のシニア4勝目が狙えるコンディションであることは間違いない。