塚田好宣には、是が非でも「日本プロゴルフシニア選手権」を獲りたい理由がある。2021年大会は最終日を首位でスタートしたが、結果は2位タイ。シニアルーキーとして臨んだ2019年大会でも2位タイフィニッシュと、あと1歩のところで優勝を逃しているのだ。
「何が好きかと言われると分からないんですが、自分でもコースとの相性が良いと感じています。2回優勝し損なって悔しい思いをしているので、今年は初日から優勝を意識してプレーしました」。
気合十分でスタートホールのティイングエリアに立った塚田。しかし、1番でいきなりボギーを打ってしまう。「いつもならフェアウェイの真ん中を狙うのですが、勢いをつけたかったので左のバンカーの上を狙って振りにいきました。でもうまくいかず、バンカーに入れてしまいました」。
出だしで躓いたが、「景気づけだと思ってすぐに切り替えた」と最初のティショットを振り返った。
流れを引き寄せたのは5番ホールだ。2打目を2.5メートルにつけて最初のバーディを奪うと、6番パー3で4メートルを沈めて連続バーディ。7番をパーとし、8番は2打目を1.5mに、9番パー5は3打目のアプローチをピタリと寄せて再び連続バーディを奪った。
「先々週の『日本シニアオープン』は予選落ちしましたが、ショットの調子はずっと良いんです。問題はパッティングにありました」。
スコアを伸ばせなかった原因は、今大会までの2週間でしっかりと修正した。知人の元プロゴルファーのアドバイスが効いたそうだ。
「アドレスでカップ側に手元が出過ぎているんじゃないか? と言われたんです。その構えでストロークすると、インパクトでもロフトが立ってしまう。だから、打ち出しでボールが跳ねていたんです。それに気付き、ソールをしっかり地面につけ、シャフトを垂直にするように構えたらパッティングが良くなりました」。
10番は、2打目をピン奥5メートルにつけたが、「下り傾斜でかなり速いと思っていたら、全然転がらず…。難しいパーパットを残して3パットしました」。その後、11番から16番はパーをセーブして、この時点で2アンダーだ。
「リーダーボードを確認して、あと2つ伸ばそうと思った」と、気持ちを引き締め直して挑んだ17番パー4。2打目でグリーンをとらえ、6メートルのパットをねじ込んで3アンダーにスコアを伸ばす。パー5の最終ホールでも、同じく6メートルのバーディパットを沈め、目論見通りの4アンダーで初日を終えた。「上がり2ホールのバーディパットは、どちらも上りのライン。カップに届かせようとしっかり打ったら入ってくれました」と満足気だ。
初日4アンダーは、首位の山添昌良、J・M・シンに2打差の3位タイ。“3度目の正直”を狙うには上々の滑り出しだ。「毎日、4つ5つスコアを伸ばし、最終日の最後の9ホールを残した時点で優勝に手が届く位置にいたい」と塚田は力強く語った。
優勝を狙う塚田は、このスコアで満足せず、貪欲にバーディを狙う。