首位と3打差の通算5アンダー・6位タイからスタートした地元・北海道札幌市生まれの佐藤太地が猛チャージを展開。前半で3バーディーを奪い、迎えた9番パー5ホールでは会心のイーグル奪取に成功し、ハーフ31をマーク。最終組で回っていた首位の植竹勇太を捕らえるどころか、イーグルによって逆転を果たした。
「決して完璧なゴルフではありませんでした。ミスショットしたと思う当たりが大きなミスにはならなかったり、パットが上手く入ってくれたりというフロントナインでした」と振り返る佐藤。進行遅延でティーグラウンド待ちが多かったことで、前後の組のプレーを見たり、スコアを確認したりすることが出来た。植竹を1打差で逆転できたことを知って迎えた勝負の残り9ホール。
前半とは流れが変わった。ミスショットにラッキーは加わらなかった。ラフからのショットも苦にせず打てる。寄せとパットで耐え忍ぶことが出来た。
2年前の日本学生ゴルフ選手権でラフに捕まったボールを打ち出した際、左手首を痛めた。昨年3月に左手首軟骨損傷を治療するために外科手術を受ける。8カ月近くもボールが打てず、リハビリと筋力アップトレーニングに努めた。東北福祉大学ゴルフ部4年生としての一年は試合に出場することが叶わなかったのだ。ゴルフ部同期の比嘉はすでにツアーで活躍している。悔しさを、いつかバネにしてみせる。それでも救われたこともあった。筋トレ効果で飛距離が10ヤード以上も伸びたのだ。
苦い経験を重ねながら、この最終プロテストで、ようやく同期=比嘉も植竹勇太、蛭田玲於もいる=同じ舞台に立てた。それだけでも嬉しかった。地元開催が何だか自分に味方してくれているようにも感じた。
後半は1バーディー・ノーボギー35。通算11アンダーにスコアを伸ばし、植竹を逆転したまま逃げ切る形で佐藤はトップ合格を果たしたのだった。
「トップ合格できて、来年の日本プロゴルフ選手権にも出られる資格を頂けて、そして良きライバルでもあるゴルフ同期たちにも勝つことが出来ました。左手首を気にすることなく、クラブを振れたことも嬉しい。これで来月からのQT挑戦にも弾みが付きます。両親、主治医の先生、そして所属先の北海道ブルックスCCの皆さんにトップ合格のお礼と日頃の感謝を伝えたいです」
復帰戦を見事「復活戦」にしてみせた道産子・佐藤。北海道で「ダイチ」の大きさ、凄さがアピールされたのだった。
(PGAオフィシャルライター 伝昌夫)