「我慢の第2ラウンドでした」。伊波雄大(24歳)は、スコアカード提出後のインタビューで、フウッと大きく息を吐き出してから、そう答えた。
初日は3アンダー8位タイ。2日目はアウト36、イン37の73。通算2アンダー・16位タイ。順位を下げたものの、「頑張りました。踏ん張りました」と自分を褒め称える言葉を何度も口にしたのだった。
最終プロテスト4日前の出来事だった。エースドライバーのシャフトが折れてしまったのだ。「サブドライバーでは不安が残るので、3番ウッドでティーショットし続けています。練習ラウンドで8、9番アイアンを手にしていた2打目が、試合では5、6番アイアンで打たざるを得ない。それでも今日は16ホールでパーオンしましたが、ショットの距離感が合わず、ファーストパットは10メートル前後ばかり。2パットで凌ぐのに苦労しました」。
大事な最終プロテストを前に、愛用ドライバーを使えないアクシデントに見舞われたなら、落ち込んで当然。だが、伊波はプラス思考で乗り切っている。「神様がドライバーを使うなと言っているのだと思っています。実は、3年前の2次プロテストの時に、ドライバーのヘッドが割れてしまい、2番アイアンでティーショットした経験があったので、それ相応の対処の仕方はすでに経験済みなんですよ」と笑い飛ばす。
精神的な不安は拭えない。しかし伊波、こう言い切る。「残り2日間、36ホールも自分のポテンシャルを信じ、カバーして(バーディー)チャンスを作って行きます」。
3年連続のプロテスト受験。昨年は2打及ばず、合格を手にできなかった。エースドライバーに昇格した3番ウッドで、今度こそ、夢を実現してみせる。伊波の眼光は誰よりも強く、鋭かった。
(PGAオフィシャルライター 伝昌夫)