スコアカードを提出し終えて、携帯電話で父親にその日のプレーとスコアを報告する。「そうか。とにかく悔いだけは残すなよ」。褒めも叱りもしない。一生懸命にプレーに対しては、とやかく言っても何も始まらないことを知っているからだ。
テスト開催週の前週にコース入りした池内慧(23歳)は、父親と一緒にラウンドしてもらい、様々なアドバイスを受けた。コースの特徴や攻略方法、北海道ならではの洋芝ラフからアプローチ、パット…。一つも聞き漏らさないようにし、頭に叩き込んだ。 初日は、3オーバー(38・37)91位タイ発進。バーディーを一つも取れなかった。
「北海道に来てからショットの当たりが良くなくて。ですから、今日はバーディーを4つは取ろうと思ってティーオフしました。風向きが読み辛くて苦労しました」と池内。ボギーが2つ先行したものの、8ホール目で「初」のバーディーを奪ってハーフターン。後半1ホールめはパーオンショットをショートし、寄らず入らずのボギーを叩く。しかし、次のホールでバーディー、17ホールめで「3個」目のバーディーを奪った。 「最終ホールのパー5でバーディーを取れば目標の4バーディーでしたが、アプローチをミスしてパーに終わりました。それでも3バーディー3ボギーのパープレーは明日につながるはずです」。第2ラウンドは、3オーバーを守り69位タイと踏ん張った。
高校進学後に父親と練習場へ出掛けたのを機に本格的にゴルフを始めた。高校3年時には「もっとゴルフを続けたい」思いが強まり、卒業後に群馬県の白水GC研修生となった。最終プロテストに駒を進められたのは今回が初めてのこと。「洋芝でのプレーにはまだ不慣れで、特に寄せではボールのライに左右されてしまいます。残り2日はパーセーブしながらチャンスは確実にものにし、アンダーパースコアをマークします。ショットをもう少し修正したいので、練習場へ行きますね」と言い残し、池内はドライビングレンジへと歩を進めた。
ツアープロの父親・池内信治への電話報告は、この日ばかりは後回しにして--。
(PGAオフィシャルライター 伝昌夫)