「頑張って来い!」。所属先ゴルフ場の支配人から短い言葉での送り出しを受けた。最終テスト旅立ちにあたり、挨拶しようとしたが、支配人がちょうど接客中だったからだ。
滝雅志(25歳)は、前半で2バーディーを奪い、後半の出だしでボギーを叩いたが、11ホール目でバーディーを奪い返す。その後も6番ホールでスコアを一つ伸ばして迎えた最終ホールのパー5(9番)。ピンまで残り205ヤード。風向きは、ややアゲンスト。ラフからのショットだったこともあり、滝は4番アイアンを選択した。何とかグリーンを捕らえたものの、カップまでは10メートルの距離。「上手く寄せてバーディーだけは確実に取りたい」一心で打ち出したボールはラインに乗り、カップに沈んでくれた。イーグル奪取フィニッシュ。「今日はチャンスでパットが入ってくれましたし、いくつかのラッキーがあっての5アンダーです」。滝は苦笑いを浮かべる。
3番パー3ホールでは10メートルのバーディーパットを強く打ち過ぎたものの、オンラインでカップ奥の縁にぶつかり、ポンと跳ね上がり、止まってくれた。「カップ縁に当たらなかったらボギー必至でしたし、最後のイーグルパットもまさか入るとは…」と滝。
運も実力のうちと言われる。今回で3回目のプロテスト受験。1回目はプレ予選落ち、2回目は2次落ちを経ての今回の最終プロテスト。「緊張した中でも目標にしていたアンダーパースコアをマークできたのは自信につながります。まずは初日を無事に終えられたことを支配人に電話報告します。できれば、3日後は合格の電話を掛けたいです」。
電話の相手は、シニアツアー参戦中の植田浩史支配人。まだ一度も一緒にラウンドをしたことがない夢を叶えるためにも、合格の手土産が欠かせない。