13番パー3ホール。ピンまで158ヤード。8番アイアンで振り抜いたショットはドローの球筋を描き始めた。グリーンは捕らえられたはずだ。そう確信し、ティーペグを拾い上げていた。「入る、入る、入った!」と同伴競技者らの声が聞こえた。
エースを達成した本人、磯井怜(22歳、フリー)だけが、カップに消えるボールのシーンを見ていなかった。
「ホールインワンは2回目です。実は今年の千葉オープンで初のホールインワンを達成したばかりなんです。プロテストで出るなんて、この後何か起きるかと少し怖くなりました。でも、他には何も事件もトラブルもなく終えられてホッとしています」。
17番パー5ホールでは、深いラフに打ち込んでしまい、飛ばず、寄らず、入らずのダブルボギーを叩いてしまったが、それでも前半を1オーバーで折り返すと、後半は2バーディー・1ボギーにスコアをまとめ上げ、2アンダー70でフィッシュした。
「一日も早くプロ転向したい」思いが強まり、 山梨学院大学を2年生の時に中退した。昨年も資格認定最終プロテストを受験したが、合格に2打足りなかった。
「最終日にホールアウトした時点で不合格を確信していたので、結果を見ずに帰宅しました。後輩から『あと2打でしたね』という電話連絡が来て、結果を知ったくらいです。今年の開催コースは自分のゴルフと相性が良さそうですし、初日にしてはまずまずのスコアで回れたと思います。明日からはもっとスコアを伸ばして行きたいです。今日はパットに微妙なズレがあったので、それを解消したなら行けるはずです」と磯井。
今年は合格できる。合格する。その確信がエース達成まで引き寄せたようだ。「千葉オープンではホールインワン賞を頂いたのですが、さすがにプロテストに特別賞はありませんよね(苦笑)」。いえいえ、スコア2打の貯金が何よりでしょう!?