昨年は2次プロテストで落ちた。「ボロボロの内容でした」と苦い思い出を泉川メイソンは話してくれた。その悔しさを晴らそうと臨んだ今年のプロテスト。2次プロテストをトラウマにはしたくはなかったが、その危険にさらされてしまう。
最終3ラウンド目。通過ラインは通算3アンダー。泉川は3アンダーでスタートし、スコアを一つ伸ばして通算4アンダーで最終ホールを迎えたのだった。「スコア的には1打の余裕はありましたが、流石に手が痺れました。何とかパットを沈められ、去年の雪辱を果たせました」と言ってニッコリ笑った。
自分にとって厚く大きな壁を突き破れたことで自信の上積みができた。
「ゴルフはスイングじゃない。バックスイングをどこへ上げ、フォロースルーでどこへクラブを振り抜くではなく、インパクト時のフェース向きが最も大切なのだと考えるようになりました」。これが昨年のプロテスト不合格後に導き出したゴルフの答えだった。パットはもともと得意だったという。
沖縄県出身。父親はツアー通算4勝を挙げている泉川ピート。ゴルフの基本を父親から教わり、中学卒業後はあえて父の元を離れ、父がツアー選手時代に属した青木ファミリーの番頭格だった海老原清治が所属する、我孫子ゴルフ倶楽部を修行の場に選んだ。通信制高校で学びながら、研修生としてゴルフの腕を磨いて来た。
そして迎えた最終プロテスト。「練習ラウンドから自分のゴルフに合ったコースだと感じたし、苦手意識はまったく湧きませんでした。2ラウンドとも3アンダーで、通算6アンダー。首位とは3打差だったので、今日はテッペン取りを意識してスタートティーに上りました」。強気なプレーが裏目に出てしまい、スコアを2つ縮めるに留まった。通算8アンダー・5位タイ。首位とは3打差で最終ラウンドを迎える。「まだ(首位合格を)狙える位置ですから、明日こそ!です。何が起こるか分かりませんよね。カップまで2メートルの距離のパットは外す気がしません」。得意のパットでバーディー量産を目指しているのだ。自信満々の源は、海老原から譲り受けたマレットパター。逆転でのトップ合格をもたらす「打ち出の小づち」にしてみせる。
(PGAオフィシャルライター 伝昌夫)