第1ラウンドは2オーバー・70位タイ。合格ラインとなる50位タイに食い込むには、どうしてもアンダーパースコアが欲しかった。合格圏内に入って重圧から逃れ、ノビノビとプレーしたかったに違いない。
そんなタワン・ウィラチャンが底力を発揮した。7バーディー・2ボギーの66をマークし、通算3アンダー・17位タイに急浮上してみせた。「昨日とはゴルフが全く違ったよ。ティーショットを打てばフェアウエイをキャッチ、アイアンショットはピンに絡み、パットは一発で入ってくれた。同じようにスイング、ストロークしてこんなにスコアが違うなんてホント、不思議だねゴルフは」。終始、白い歯を見せ、口を押さえても笑顔がこぼれてしまう。まさに笑いが止まらない状態だ。
「スイングに不安があったわでもないし、パットが不調だったわけでもないんだ。ホント、寝て起きたら別人というか、結果だけがすべて良い方に転がってくれた感じだね」。
7バーディーのうち、最も長かった距離が2メートル。1メートルに満たない距離が3回。それほどアイアンショットが切れっ切れだったのだ。
アジアンツアー通算15勝。2012年には同ツアー3勝を飾り、2度目の賞金王に輝いた実績を持つ。昨年からPGAシニアツアーに参戦している。「シニアツアーの出場カテゴリーが変更されて、PGA会員以外の出場枠が狭まったことで、プロテスト受験を決断しました。もっと日本でプレーしたいからね」。
若手選手との同組ラウンドとなるとかつての賞金王もティーショットでアウトドライブされてしまう。「ヤングボーイは飛ぶから、2打目はどうしても先に打つことになるよね。シニア選手に7093ヤード、パー71は厳しいよ」と、また笑顔。「まだまだ十分戦えるよ」と言いたそうだったが、「とにかく今日寝て、明日起きたらまたゴルフがどうなるかだね」。最後は舌をペロリと出して笑わせてくれた。