1アンダー・26位タイからスタートした今野大喜が、7バーディー・1ボギーの65で回り、通算7アンダー・4位タイに急浮上し、トップ合格が視界に入って来た。
ビッグスコアを出した今野は、さぞ御満悦の表情をしているかと思われたが、何事も無かったような顔でいた。
「昨日は池に打ち込んだりしての3ボギーでした。もったい無いことをしてしまいました。今日は雨が降ったことでラフからのショットでもグリーンにボールが止まってくれましたからね。ですから今日はボギーだけは打たないことを最低限の目標にしてラウンドした結果です。3パットで13番ホールをボギーにしたのが悔やまれます」。この日のラウンドを淡々と振り返った。
アウトコースからスタートし、2番、8番ホールでともに2メートルのバーディーパットを沈めてハーフターン。後半に入ってからは12番ホールで6メートルのバーディーパットをねじ込み、13番ホールでのボギー後の14番ホールではOKバーディーでバウンスバック。16番ホールからの「上がり3ホール」をすべてバーディーでまとめてのホールアウトだった。
アマチュア時代の2016年には中部アマチュアゴルフ選手権を制し、2017年の日本アマチュアゴルフ選手権競技では2位タイ。17、18年ナショナルチームのメンバーに選抜されている。今野は昨年、JGTツアーのファイナルQTまで駒を進めたものの、予選通過を果たせず、ツアー出場優先順位168位。今年は下部ツアーであるAbemaTVツアーを主戦場にしている。
「推薦出場させて頂いたTIチャレンジ in 東条の森2019で2位に入ることが出来、次戦のディライトワークスASPチャレンジの出場資格を得られました。賞金ランキング19位に上がったので、あとひと踏ん張りしたなら来季ツアー前半戦に出られるチャンスを掴めました」。この時ばかりはさすがに相好を崩したのだった。
ツアー日程と重ならなかったことから、プロテスト受験を決断。「プロの証が欲しかった」のも理由のひとつだったという。
昨秋からは叔父の今野康晴と一緒に新たなトレーニングメニューを取り入れ、肉体改造を行うとともに理想のスイング作りにも取り組んで来た。「今は実家の岐阜でラウンド練習をしたり、千葉県に住んでいる叔父(今野)の家に居候してトレーニングやラウンドしたり、半々の生活です。遠征先のホテルでは持参したバランスディスクを使ったり、自重トレーニングをしたりして体は鍛え続けています。下半身強化ができたようで傾斜地からのショットでも踏ん張れるようになったと思います」。そう言って胸を張ったが、鍛えられた筋肉の鎧をまとっているようでもあった。ツアー通算7勝の叔父が親身になって何でも相談に乗ってくれる。今野に取って強い味方に恩返しする「実りの時」が、徐々に近づいている。