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<FR>池内慧…ようやく父と同じプロ資格を得た幸せと親孝行

2020年11月20日
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 最終プロテスト合格者は、PGA会員証製作のために顔写真撮影をクラブハウス内で行う。一種の「合格儀式」だ。

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 撮影場所に歩を進めることができた池内慧は、カメラマンを見るなり「一番格好よく映してくださいね」と満面笑みでそうリクエストしたのだった。「ごめんなさい。会員証だから真面目な顔でお願いしますね」とヤンワリ断られたのだった。そう言われても、池内はカメラを前にすると一声をあげた。「やったー!」。合格の嬉しさを表現したくて堪らない思いが伝わって来た。

 通算10オーバー56位タイで迎えた第4ラウンド。合格圏内に食い込むには、スコアを落とせない状況だった。

「昨夜は応援してくださる大勢の方から励ましの電話やメールメッセージをたくさんもらいました。『絶対に合格しますから』と返答していたんですよ」。最終プロテスト開催コースが玄海ゴルフクラブに決まってから、足繁く練習ラウンドを行った。群馬県の実家から5往復、計5回の練習ラウンドで「グリーンもグリーン周りも難しく、ショットはポジショニングが求められるコースだと思いました。インコースは得意でしたがアウトコースが難しい」。そんな池内の分析は的確だった。最終プロテストが始まり、案の定アウトコースでスコアを落としてばかりいた。3日間で12オーバー。インコースでのアンダーパースコアで減らす形だった。

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 迎えた第4ラウンド。池内はアウトコースからのスタートとなった。「アウトコースが勝負。相変わらず強い風が吹いていたので、ダブルボギーだけは絶対に叩かず、とにかくパーを拾いまくろう。そう自分に言い聞かせてティーオフしました」。強風下ではスコアを伸ばせない。パーセーブは守りのように思えるが、「今日は攻めの気持ちを忘れずプレーしました」と池内は振り返る。

 難関のアウトコースを1バーディー・1ボギーで回り切った。後半はバーディーが先行したものの、17番パー3ホールで2メートルのパーパットを外してしまう。それでも、カップオーバーのパットが好材料となった。

 迎えた最終18番パー4ホール。「バーディー奪取で上がってみせる」。パーオンしてのバーディーパットは8メートル。グリーン上でも強い風が吹いている。フォロー風でのバーディーパット。カップをオーバーしたら難しいパーパットが残る。池内はカップ手前1メートルに寄せた。「このパーパットは絶対入れる。入れてみせる」。強い気持ちを18ホールとぎらせなかった。ボールはカップに沈み、心地よい音を奏でた。

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「今日は会心のゴルフができました。自分を信じて本当に良かったです」。50位タイ以内の合格圏内に入れたことを知り、5回の練習ラウンドに同行してくれた父親にすぐに合格報告とお礼の電話を掛けた。「そうか、良かったなって。涙ぐんでいるのが電話の声でもわかりました」。ツアー通算1勝、シニアツアー通算2勝を挙げている父。その名は池内信治。父と同じプロ資格を得ることが出来た。「やっとスタート地点に立てました。これからは一試合でも多くプロの試合に出たいし、チャンスがあれば海外のツアーにも挑戦したいです」。父と掴んだ池内の夢風船は大きく膨らむばかりだ。

(PGAオフィシャルライター 伝昌夫)

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