「2020年度PGA資格認定プロテスト 最終プロテスト」の最終ラウンド。長く厳しい72ホールの戦いを終え、会場では喜びと悔しさが入り混じる。テスト合格者は12オーバー296ストローク、47位タイまでの51名となった。首位タイスタートの長谷川祥平(27歳・ELECOM)が通算7アンダーで最終プロテストトップ通過を果たした。
通算10アンダーで首位の座を分け合う長谷川祥平と岡田絃希が、アウトコース午前8時スタートの1番組でティーオフした。
前日同様に日中は風速7m/s前後の強い風が吹き、好スコアをマークするのは容易ではないコースコンディションとなった。「少しでも上位で合格したいと思っていました。風が強く、厳しいピン位置だったことから、2、3ホールほどプレーした時点でイーブンパーのスコアでもトップ合格できそうだと感じました」。長谷川はこの日のラウンドをそう振り返った。難関の3番パー3ホールをボギーとしてことで、バーディー奪取よりもパーセーブを優先させるマネジメントに切り替えたのだった。
502ヤードの5番パー4でもボギーを打ったが、残りの4ホールをパーにまとめ、前半を2オーバーとして後半に入った。「アウトコースに比べたならインコースはやさしい」(長谷川)はずだったが、前日同様の強い風だったが、風向きは異なっていた。クラブ選択も迷わされた。「ピンをデッドには狙えるコンディションでなかったことで、バーディーチャンスをあまり作れませんでした。パットの時でも風でラインが変わってしまうことさえありました」。
岡田とのトップの座を巡る戦いは、17番パー3ホールで明暗を分けた。ピンまで185ヤード。オナーの岡田は風向きをフォローと読み、6番アイアンを選択する。「実際はアゲンストの風向きでした。実力不足です。最終ホールでバーディー奪取を目指したのですが、パーセーブで終わってしまいました」。一歩の長谷川は13番パー3ホールでのボギーにとどめ、それ以降の5ホールでパーセーブ。ラウンド序盤で切り替えたマネジメント「パーセーブ最優先」のプレーでフィッシュ。岡田を一打抑え、通算7アンダーでトップ合格を果たしたのだった。
2015年プロ転向以降、ツアー競技では通算16試合連続の予選落ちを喫していたが、20年9月に開催されたフジサンケイクラシックで初の予選通過を果たしている(最終結果43位タイ)。「アマチュア時代は予選を通過していたんですけどね(苦笑)。プロに転向してからドライバーショットが不安定になってしまい、試行錯誤が続いていました。YouTubeでキウイコーチことマイク・クロセテリアのレッスン動画目を見て、直接教えてもらいたいと思い、SNSで連絡を取り、去年から月に1回は指導を受けています。良い方向に向かい、成果が徐々に出始めている。この最終プロテストでも実感できました」。
長谷川は、すでに日本プロゴルフ選手権の出場資格を予選会で獲得している。それでもトップ合格にこだわるのは「トーナメントではありませんが、何事もトップの座を取るのは難しい」からだ。「一番になれて嬉しいです。これからも課題を一つずつクリアーし、成長して行きたいです」。成績ボードの左最上段に掲げられた自分のネームプレートを指さし、長谷川は頂点に立てたことをじっくり噛みしめ、素直に喜んでいた。
(PGAオフィシャルライター 伝昌夫)