2008年アジアンツアー賞金王に輝き、日本・欧州・アジアンツアーで通算20勝を挙げているインドのジーブ・ミルカ・シンが「日本のシニアツアー参戦」を期して最終プロテストに臨んでいる。
日本ツアーでゴルフ日本シリーズを2回制し、欧州ツアーではボルボ・マスターズをはじめ計4勝、アジアンツアーではボルボ中国オープン、シンガポールオープンなど6勝をマーク。07年にはインド人選手として初めてマスターズに出場し、オーガスタナショナルGCの地を踏んだ。その実績は数え切れない。
「欧州シニアツアーに参戦できる資格はすでにあるし、米国チャンピオンズツアーはメジャー大会の出場権も持っています。日本のシニアツアーにも出場したいので、まずはPGA会員資格を得ようと考えました」。シンはプロテスト受験の経緯をそう話した。
試合に出場するのは今年1月中旬に行われたシンガポールオープン以来、およそ10カ月ぶり。練習ラウンドを終えた際には「伝統的な日本のゴルフコースですね。各ホールが松林でセパレートされ、グリーンは小さく、砲台型で、繊細なアンジュレーションが施されています。ホントにグッドコースね」と余裕を漂わせていたが、2ラウンドを終えて通算イーブンパーの21位タイに留まっている。
「(2ラウンド目の)今日は、前半でスコアを4つ伸ばせたけれど、後半に入ってからショットが不安定になってしまった。スイングの踏ん張りが効かなくなってしまったね。腰も下半身も疲れてパンパン。昨夜もマッサージしてもらったけれど、疲れが癒えてないね」。ふくらはぎを手で撫でながら、シンは苦笑いを浮かべた。カートラウンドばかりで、歩いてコースをプレーするのは、シンガポール以来だというのだ。
「10歳の息子のジェイもゴルフをしているんです。ジュニアの大会が毎週あり、私は毎週末キャディーをしています。いつかは息子に抜かれるかな。でも、負けないように少しでも長くツアープレーヤーでいたい。そのためにも、まずは合格しないとだね」。息子自慢の父親が、かつての勝負師の目に変わった。実力者が本領を発揮するのは、第3ラウンドからなのかも知れない。