午前8時00分。アウト1番パー5ホールの第1組目でスタートした富本虎希が好調なゴルフを展開した。6バーディー・1ダブルボギー67でフィニッシュ。まずはスコア貯金を4にして第1ラウンドを終えた。
順調な滑り出しとは言えなかった。スタートのパー5でスコア貯金をしっかり作るゲームプランだったが、5番ウッドでのツーオンを狙ったショットは僅かにショート。ピン手前のガードバンカーに捕まる。しかもボールのライは砂に半分埋まった目玉状態だった。この朝、コースに向かう前にファストフード店で朝食を済ませて来た富本。オーダーしたメニューはハムエッグ定食だったという。
朝から目玉のライとは…と思ったものの、見事なリカバリーで無難にパーをセーブした。「さすがに朝イチのスタート組は緊張感がいつも以上でしたが、パーに収められたことで気持ち的に楽になりました」。続く2番パー4ホールで距離5メートルのバーディーパットを決めた。調子の波に乗りたかったが、3番パー3ホールで試練が待ち受けていた。グリーン左にティーショットを曲げてしまい、ボールは崖下へ転がり落ちる。2打目で上げ切れず、3打目はグリーンをオーバー。結局ダブルボギー。スコア貯金を吐き出してしまう。このミスによってスイッチがONに切り替わる。7番パー3ホールで4メートル、9番パー4ホールは6メートルをねじ込み、前半を1アンダーのスコアで折り返す。後半は15番ホールからの3連続バーディーでフィニッシュ。6バーディー・1ダブルボギー67にスコアをまとめ上げたのだった。
「後半はプレーの流れが良くなり、バーディーチャンスを外してしまうことが多かった。最後の方でようやく入ってくれました。今日はパットに助けられたことで、ボギーを打たずに済みました」と富本は振り返る。
大阪学院大学4年生。今年はコロナ禍で大学リーグ戦が行われず、試合に臨めなかった。PGAプロテストを受験するとリーグ戦には出場できなくなる規定があった。「学生の試合が無くなったことから受験を決意しました。今年は同期の選手も同じ道を選んでいます」。富本は就職活動をせず、プロゴルファーへの道を選択したのだった。
4歳の時に父と兄の3人で祖父からゴルフの手ほどきを受けたという。「祖父が親子3代でラウンドしたかったのが理由です。実は中学3年生の時に九州アマゴルフ選手権でこの玄海ゴルフクラブをラウンドしています。難しい!の印象しか残っていませんでした」。それから7年の月日が流れ、2018年には日本学生ゴルフ選手権2位の成績を収め、改めて玄海GCをラウンドしてアンダーパースコアをマークした。「以前使っていたパターに戻したことで、パットが復調したお陰です。明日もアンダーのスコアを出せるようにプレーするだけです」。富本は決して油断しないことを自分に言い聞かせているようだった。
(PGAオフィシャルライター 伝昌夫)