明日のプロテスト初日を前に、選手たちは練習ラウンドを精力的に行っていた。今回の最終プロテストに兄弟で駒を進めた大嶋炎(23歳)、宝(18歳)は「一緒に」の思いを胸に最終のコースチェックをしながらプレーしていた。大嶋は4兄弟。炎は長男、宝が三男。先日開催された日本ジュニアゴルフ選手権競技・男子15歳~17歳の部を制した大島港が四男だ。昨年の2次プロテストでは通算5アンダーをマークしながら、合格ラインに2打及ばず不合格となった炎は、体幹アップトレーニングに努めたことでショットのブレが抑えられ、安定感が高まった。その甲斐あって今回は最終プロテストに漕ぎ着けた。
大阪学院大学ゴルフ部の井上尚彦監督の紹介で東京ゴルフ倶楽部の研修生となった炎。今年3月、研修生の大先輩にあたる久保谷健一が同倶楽部で合宿を行ったことから、様々なアドバイスを授かった。技術論はもちろん、精神論に多大な影響を受けたという。「アメリカPGAツアーのトップ選手でも2メートルのパットを入れる確率は67パーセント。3回に1回は外している。だから、2メートルの距離は外してもおかしくない距離であるということを教わって、気持ちが何だか楽になりました。その一方で、外した原因はパット力なのか、それとも前打の寄せやアイアンショットなのかという考え方もできるんですよね」。久保谷からゴルフの奥深さを改めて教わったことで、炎のモチベーションはメラメラと高まったのだ。弟との同時受験も刺激になっている。
「僕は一日でも早くプロゴルファーになり、活躍したいという思いから受験しました」と話すのは、三男の宝。関西高校3年生で、昨年の日本オープンゴルフ選手権では予選通過を果たしている。「ショートゲームでスコアメイクしていくタイプですけど、プロテスト会場は洋芝なのでショットの対応が難しいです。打ってみないと分からないというか、(ボールが)飛んだり飛ばなかったりします。本戦まで少しでも感覚を掴みたいです」。宝はグリーン周りからのアプローチ練習に時間を費やしていた。「自分だけ、たとえ合格しても…やっぱり兄弟揃って合格したいです」。四男・港の快挙に続いて今週は、大嶋兄弟が喜びごとを紡ぎたい。
(PGAオフィシャルライター 伝昌夫)