74.242ストローク。第3ラウンド終了時点での平均ストロークだ。合格ラインとなる50位以内の選手は通算7オーバー・48位タイの54選手だった。3日間のスタッツからして、第4ラウンドでの合格ラインは通算8オーバーか、9オーバーだと予想されるほど、開催コースの登別カントリー倶楽部のコースコンディションは厳しかった。
「これまでの悪い流れを変えたい」。74・74・76と3日間オーバーパースコアが続き、通算11オーバー・79位タイで第4ラウンドを迎えることになった内山遥人は、打開策を練った。大叩きの原因は、グリーンにあった。硬く引き締まったグリーンは、ボールが止まらず、シビアな距離感のショットが求められる。高い球でなければグリーンにボールを止められない。グリーンスピードの速さにも苦労していた。これまでのプレーぶりを分析し、楠田は3番アイアンを5番ウッドに入れ替え、4本持って来たパターの中からラインが出しやすく、アプローチショット感覚で打ちやすいL字型を持ち出した。
「5番ウッドならパー5ホールでツーオンできるチャンスが高まるだろうし、L字パターならラインを読み切ればカップイン率がアップすると思いついたのです」。
アウトコースから出た内山は5番ホールまでパーセーブを続ける。6番パー4ホールで4メートルのバーディーパットが決まってくれた。前半でスコアを一つ伸ばしてハーフターンすると内山のミラクル劇場の幕が上がる。10番グリーンで7メートルのバーディーパットが入り、11番グリーンで5メートル、12番グリーンで4メートル、圧巻は15番グリーンでの9メートルのバーディーパットがカップインの快音を奏でたのだ。
「4バーディー目で、もしかするとこれは(合格が)あるかと感じ、5バーディー目で確信しちゃいました」と内山。前夜、考え抜いた「流れを変える」打開策が奏功しての5バーディー・ボギーフリーの66でフィニッシュ。通算6オーバー・37位タイにジャンプアップし、内山は大逆転の合格を手に入れたのだった。
一日でも早くプロゴルファ―になりたい一心で、高校卒業後に芥屋ゴルフ倶楽部の研修生となった18歳。ドライバーショットが武器だそうだが、まだまだ飛距離アップし、ツアーで活躍する夢を抱く。が、しかし、今年のJGTOツアーQTの申し込みをうっかり忘れてしまったという。「来年(のQT受験)に向けて、タップリ練習します。この合格を両親と、所属コースのいつもお世話になっている方々に電話して伝えたいです」。目をキラキラと輝かせながら嬉しさを隠せない。「あれっ、携帯電話、どこに置いたか忘れちゃった!」。まずは、そそっかしい性格を改めないと、ですね。