通算3オーバーの25位タイからスタートした新井隆一が、この日68ストロークで回り、12位タイへジャンプアップ。しかし、好スコアをマークしたにも関わらず、表情は決して明るくなかった。何か苦い物でも口にしたように顔がこわばっている。理由を尋ねて納得した。
第1ラウンドは73、第2ラウンドでは72のスコアでベストテンに入れず、悔しい思いをしていた。その原因はパットの距離感がまったく合わない点にあった。「第1ラウンドの前半9ホールだけで3パットを5回も繰り返してしまったんです。へこむなんて次元ではありませんでした。ゴルフ人生で初めてです。第2ラウンドでも3パットしてしまい、2日間で3パットが計8回では、好スコアは出せなくて当然です」。
パット不調を拭い去るため、この日のスタート前はパッティンググリーン上で多くの時間を費やした。ロングパット練習を繰り返して距離感をつかむことに専念した。その甲斐あってパットが前日とは打って変わって決まってくれた。インコース発進の新井は15ホール目を終えた時点で5アンダーと好調なゴルフを展開した。16ホール目の7番パー4ホールで思いもしなかったことが起きた。バーディーパットが外れ、パーパパットの距離は50センチほどもない。「お先です」。新井はプレーの流れから、何のためらいもなく打った。ボールはカップの縁を半周し、止まった。カップインしなかったのだ。ケアレスミスによるボギー。続く17ホール目は危なげなくパーとしたが、18ホール目では寄らず入らずのボギーを叩いてしまう。5バーディー・2ボギーの68でフィニッシュしたのだった。
「せっかく良いゴルフをしてたのに、上り3ホールでボギーが2つとは…。66のスコアで上がれるチャンスをせっかくに手にしていたと思うと悔しさしか残りません。でも、第3ラウンドで良かった。明日はホールアウトするまで気を抜かず、今日以上のスコアで上がってみせます」と気持ちを切り替えた。幻のスコア66を上回るビッグスコアを目標にして新井は第4ラウンドに臨む。