北海道にある登別カントリー倶楽部(7,069ヤード/パー71)で行われている「PGA資格認定 最終プロテスト」第1ラウンド。朝から強い風がコースの中を吹き抜けた。初日首位に立ったのは5アンダーで村上拓海(フリー、21歳)。3打差の2位タイには岩渕隆作(エトワス、24歳)、植木祥多(フリー、21歳)、坂本隆一(くまもと中央CC、23歳)が続く。
「ミスらしいミスショットがありませんでした。強いてあげるなら、パットを3回外したのがもったいなかったです」。クールに村上拓海は最終プロテスト初日のラウンドをそう振り返った。インコースからスタートし、10、11番ホールで連続バーディーを決める。その後は9ホール連続でパーをセーブした。アウトコース3番ホールでバーディパットをねじ込むと、7、8番ホールで再び連続バーディーを奪取してホールアウト。5バーディー・ボギーフリーの66はこの日のベストスコア。天候は晴れながら西北西の4メートルの風に加えて湿度50パーセント。時間が経つにつれてグリーンは乾き、硬く引き締まっていた。「グリーンはパンパンに硬く、スピードが速く感じたので3パットだけはしないように心掛けました。ドライバーショットはフェアウエイを捕らえ、アイアンショットは切れていました。好調ゴルフのままテストを迎えられて良かったと思います」。
村上は日本大学を2年生時に退学し、プロの道を選んだ21歳。そのまま在学していたなら大学4年生の年齢だ。現在は千葉県のゴルフ場でキャディーバイトをしながらミニツアーに参戦し、腕を磨いている。ジュニア時代の2017年には全国高等学校ゴルフ選手権で個人優勝した戦績を持つ。「高校卒業後でのプロ転向も考えましたが、まだその実力はないと思って大学に進学しましたが、やっぱり早くプロ転向したい気持ちが強まったのです」。村上が大学を中途退学した理由だ。しかし、JGTOのQT受験に失敗してしまったのだった。仕切り直しで迎えた2021年。PGAライセンスを取得し、改めてQTに挑む。3歳の時にシングルハンデの父・恭之さんからゴルフの手ほどきを受け、小学4年時には競技ゴルフを始めた。「できればトップ合格を果たして、サードQTから受けられるようになれば最高です。でも、まだ18ホールを終えただけですから、アイアンショットの切れを生かして行けたら…」。
かつては研修生だったという父の若かりし頃の夢-―プロゴルファーライセンス取得、そしてツアーへ--息子が叶える時を迎えたのかも知れない。単独首位スタートは大きな手応えだろう。
(PGAオフィシャルライター 伝昌夫)