今回の最終プロテスト進出者の中には、昨年の「最終プロテストリベンジ」を果たすべく、1年間必死に練習を重ねてきた受験生が数名いる。中でも酒井秀崇は、昨年のプロテスト時期に右手首を怪我してしまったことで思うようなスコアが作れず第3ラウンドで敗退してしまった。現在のレギュレーションでは、54ホールを終了し50位タイのスコアから10ストローク以上を数えると、第4ラウンドには進出できないことになっている。
リベンジを狙い、迎えた今年の第1ラウンド。2番パー4では150ヤードを9番アイアンで1.5メートルにつけてバーディーを先攻。4番パー4ではピン下12メートルの距離をしっかりとパッティングして2つ目のバーディーを重ねる。7番パー4は118ヤードを52度のウェッジで上り3メートルにつけて3つ目のバーディー奪取。後半のピンチといえば、10番から3ホール連続で、アプローチを利用しパーセーブできたことだ。迎えた16番パー4、フェアウェイセンターから残り120ヤードをピン手前3メートルに着けて4つのバーディー。ノーボギーで大きな肩の荷を下ろし、合格への望みをつないだところだ。
「昨年の予選カットはとにかく悔しかった。コロナ禍ではありましたが、プロテスト以外にもチャンスを見つけるべく、カナダツアーのQTにも挑戦した結果は敗退でしたが、弱点だったショートゲームのコツを掴んだ手ごたえがありました。可能性が広げられた国際経験は大きな収穫でした」と酒井は振り返る。「ゲームの組み立てに必要なパッティングも得意になりましたが、特に100ヤード以内のウェッジの精度を徹底して磨くことができました」と、納得のいく良いコンディションに自信ものぞかせる。
ただ、バスケットボールをやっていた頃の古傷でもある膝にひびが入ったことが判明した。今年に入り一か月間は松葉杖の生活を余儀なくされ、ゴルフの練習も我慢せざるを得なかった。ただ「最終プロテストのリベンジをする」と強い想いを抱え、近畿地区プロテスト選考会上位で通過。今回の最終プロテスト舞台まで望みをつなげることができた。
「2020年に関西学院大学を卒業してから、小野GCに所属させていただき、練習はもちろんキャディー業を通じてゴルフ倶楽部にはたくさんお世話になっています。コースみなさんの支援や、トレーナーとしてサポートしてくれている方々に、今回プロテスト合格という結果を抱えて、感謝を伝えに上がりたい」。酒井の謙虚で真面目な人柄が、所属コースでも受け入れられている要因だろう。酒井は吉報を手にし、これまでの感謝を伝えられる絶好のタイミングに差し掛かっている。