NEWS
トーナメントプレーヤー

【News/1R】アメリカ仕込みのゴルフで挑む成松亮、3度目の最終プロテストで集大成をしたい

2022年08月30日

 191センチ、95キロと恵まれた体格の成松亮は31歳になる。300ヤードを軽々超えるドライバーが成松の武器である。実は、最終プロテストは3度目挑戦になる。初挑戦は19歳。合格ラインまで3ストローク足りなかった。29歳で2度目の挑戦をした。その時はアプローチイップスに苛まれて、10打足りずに大敗した。そして3度目の挑戦となる今年の第1ラウンドでは、5バーディー・2ボギーの68でスコアをまとめ、3アンダー6位グループと好スタートを切った。


 プロテストに落ちた19歳の時に、成松はゴルフをあきらめることなく、憧れのPGAツアーを夢に渡米している。ミニツアーを通じて得意クラブのドライバーショットは米国でもやっていけるかもしれないと期待を抱いた。日本ではPGAツアーのTV解説でもおなじみのレックス倉本氏の自宅にホームステイさせてもらいながら、ゴルフと英語漬けの中で、脇目も振らず必死にスキルアップを目指す日々を送っていた。


 ミニツアーを軸に、目標はツアーのマンデートーナメント突破。技術研鑽に励む毎日だったが強者揃いのPGAツアーではなかなか実力を発揮できずにいた。フロリダにいたころは、広島国際高校時代に試合で一緒にプレーしたこともある同い年の松山英樹とも再会。「米国でも通用するんじゃないか」と期待を寄せてくれた。成松にとっては、ゴルフの自信が深まっていく魔法の言葉になった。アメリカを離れ、ベトナムにも住み込みで4カ月ほど滞在していたこともある。当時は9ホールのゴルフ場で、ワングリーンに2つカップを埋め込んで運営するスタイル。成松は慣れない仕事とゴルフに明け暮れた時期だった。


 米国でツアーを夢見る生活も厳しく、ゴルフ漬けの日々は続けられなかった。2015年に最愛の父が他界。2016年に一時帰国したときには20代も半ばを過ぎていた。資金面でも負担が感じられ、人生設計に焦りも出てきた。これまでの米国と日本の二か国拠点とした生活を見直そうと思い始めた。「日本にゴルフの軸を移して足場を固めよう」。そのために日本でプロゴルフライセンスを取得し、活動範囲を安定させることが先決だと思いを固めた。


 こうして迎えた今回3度目の最終プロテスト挑戦。この間に自分では想像もできなかった世界という枠で、様々なゴルフを経験してきた。成松には今やるべきことがわかっている。「プロテストの中でも、いつかチャンスは巡ってくる。目標はプロテスト合格。ピンをデッドには狙いにいかない。150ヤード以内のショートゲームはグリーンセンター狙いでいい。そのなかでチャンスがくるのをじっと待つだけです」。

 最終ラウンド「9月2日」は自分の中で記念日がある。自分のスタイルでじっくりとプレーを続け、これまでお世話になった人へ成長を見てもらいたい。19歳からの10年間という回り道は、決して無駄ではないはずだ。