高校2年の終わりにゴルフを始めてから7年。兵庫県出身の西川拓巳が4回目のプロテスト挑戦で、念願の合格を掴んだ。西川は第2ラウンド終了時点で6つスコアを伸ばし13位タイにつけていた。サスペンデッドの続いた第3ラウンドは、2日で5ホールを終えて7アンダーまで伸ばすことに成功。サスペンデッド再開後の最終ラウンドは残り13ホール。「ショットは緊張しましたが、パターに助けられていたので、流れを切らさずに集中するだけ」とプレーを進め、難易度が高い最終9番パー4(471ヤード)ではティーショットが右に流れて、ボギーにしたものの最小限のミスで抑えることに成功し、通算6アンダー15位タイという成績を収めることができた。
2年前に登別で行われた最終プロテストに進出したものの、通算17オーバー93位タイとまるで歯が立たなかった。「当時はプロテストに合格しないとという気持ちが焦りを生んでいた」と振り返る。「師匠から『ゴルフはメンタルが重要』だと改めて指導いただいたこともあって、ゲームの組み立て方も気持ちの部分もかなり改善できていることもあり、今回ようやくテストに合格することができました」。2年前の屈辱を果たせた西川の柔和な笑みがはじけた。
その西川が尊敬する師匠というのは、JLPGAツアーで10勝をマークしている藤井かすみプロ。現在は兵庫県小野市にあるマスターズゴルフアカデミーで専属プロとしてゴルファーの育成にあたっている。今回は西川の両親と一緒に会場へ応援に駆けつけた。「ゴルフは技術だけでなく、メンタルゲームだということを中心に伝えてきました。ゴルフ技術は自分で積極的に練習してレベルをあげてくれていますから、頼もしいゴルファーですよ」と微笑む。「テスト合格はあくまで通過点。これからプロとしてどうやって稼ぐのかを考えないと。ツアーで活躍する姿をご両親にもみてもらって、親孝行してもらいましょう」。藤井プロは、溌剌とした明瞭な言葉を通じて、西川の能力をしっかりと引き出してきた。
「プロテスト合格はあくまで通過点だということを忘れずに、これからはツアーで結果を出せるよう努力を続けます」と両親と師匠の前で、改めて努力と挑戦を続ける決意を表明した。
そんな西川の様子をみて、師匠は終始穏やかな表情を浮かべていた。