「一年前ここ登別で1打差で落ちたんです。だから絶対に今年はリベンジを果たします」。2022年の最終プロテストは濃霧による影響を受けて54ホールで決着することになった。吉本翔雄は初日75と遅い滑り出しで、2日目73、最終日71と徐々にスコアを伸ばしたが、219ストローク、6オーバーという成績は合格ラインにわずか1打足りなかった。
「あの時の悔しさは忘れられなかったですし、どうすれば最終プロテスト合格がかなえられるのか、北海道の洋芝対策も含めてずっと攻略のことばかり考えていました」と苦い思いで過ごしたこの一年を振り返った。
1年ぶりに迎えた第1ラウンド。この日を迎えるにあたり、吉本は準備と対策を十分に重ねてきた。
出だし10番パー4は1ピンにつけてバーディーを先行させた。続く11番パー5(585ヤード)では2オンに成功し連続バーディー。チャンスにつけながらもパーが続き、17番パー5ではサードショットを上り4メートルにつけてバーディーを重ねる。ハーフターン後の1、2番ではそれぞれ4メートルと得意な距離のパッティングでさらにバーディーを追加。上がってみれば5バーディー・ノーボギーとこれまでの取り組みをスコアで示すことができた。
「昨年と大きな違いは雨の影響を受けてグリーンが柔らかいこと。ロングアイアンでもグリーンをしっかりととらえられました。だから全体のマネジメントがしやすかったというのはあります。それに、洋芝対策で複数本のウェッジを用意しているのと、アジャストした打ち方を徹底して練習してきました。昨年はグリーン回り20ヤードくらいの距離を苦労したので」。一年前の悔しさを決して忘れず、一年かけて積み重ねた練習の成果が第1ラウンドのスコアになって表れたようだ。
至誠館大学4年生で挑戦した昨年の最終プロテストは1打差という苦い経験に終わったが、卒業しても監督の張本茂プロから変わらず前向きなアドバイスをもらっているという。「プロテスト直前に、スマホで撮影したスイングを送ったら『大丈夫、自信もって挑んでくればいい』と背中を押してくれました。パッティングも『強く打てることは大きな武器になる』と個性を認めてくれる姿勢が本当に有難い」と感謝の気持ちを忘れない。
吉本が迎える2度目の最終プロテスト、第2ラウンドは上位グループで競うことになる。「昨年のように合格ラインギリギリの緊張が続く組ではもう争いたくない。今年の目標はトップ合格。全力を尽くして結果を出したい」。お世話になっている監督に吉報を直接届けるために、吉本は残り54ホールを全力で戦い抜く決意をしている。