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日本プロ

【大会前日】「勝つために」 2007年大会覇者の伊澤

2017年05月10日
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かねひで喜瀬カントリークラブで2007年に開催された日本プロゴルフ選手権を制し、75代目のプロ日本一になったのは伊澤利光だった。

 2位とは2打差の通算6アンダーで最終日をスタートした伊澤だったが、メジャー大会ならではの厳しいコースコンディション、硬く引き締まったグリーンに手こずった。それでも9ホールすべてをパーでしのいだ。ハーフターン後、1バーディー2ボギーと1打スコアを落として迎えた17番パー3ホール。4.5メートルほどのバーディーパットをねじ込んだことで、2位との2打差を保ったまま最終ホールを迎えることが出来た。

 最終ホールはボギーとしたが、日本オープン、日本ゴルフツアー選手権に続く公式戦3勝目、ツアー通算16勝目を手にしたのだった。

あれから10年の月日が流れた。完璧なゴルフを追い求め過ぎて、いつしかゴルフへの情熱を失って行った。シード権を失い、ツアー出場回数も減った。レッスンを生業にし、アマチュアに指導しているうちにゴルフの楽しさを改めて感じるようになり始めた。そして今季は「生涯獲得賞金25位内」の出場資格を行使し、この1年をツアーで戦う決断をしたのだった。

「ツアーに本格復帰してまだ3試合ですからね。試合感は大分取り戻せていますが、不安はつきものですよね。不安を一つひとつ取り除き、自信に変え、自信を高めて行きたい。練習で打てても、試合で打たないショットでは意味がありません。それでも何とか戦えるかな、と思えるレベルには戻って来られたと思います。あとは自信回復し、勝ち負けは別として優勝争いを演じられればいいんですけどね」

 かつては誰よりも練習場でボールを打ち続けていた伊澤だが、その数はめっきり減った。「ベテランは体力温存。技よりも気持ちの方が重要だと感じる年代になりました」。来年3月には知命を迎え、シニアツアーデビューとなる。

9ホールの練習ラウンドを予選ラウンド前日に終え、コースの印象を尋ねた。

「懐かしさを覚えましたが、(数ホールの改造は)さほど感じませんでした。時と比べて飛距離は10ヤードほど落ちましたが、それでもドライバーは280ヤード目安ですから、平均的な飛距離ですし、300ヤードを飛ばせなくても戦っている選手は少なくありませんからね。18番パー5ホールはツーオンするのに10ヤード足りないくらい。フォローの風が吹いてくれれば届くんですけどね(笑)。飛距離が落ちた分、100ヤード、50ヤードのショットは強化して来たつもりです」と伊澤。

 ショットに対する自信を確信に昇華させてこそ、強い伊澤へと生まれ変わるのだろう。「日本プロは、いつも素晴らしいコースセッティングで行われます。距離もタフで、様々なクラブを手にしなければなりません。3番、4番アイアンを打つホールもあり、その意味でもメジャー大会らしいと思う。そんな舞台でプレーできるのが嬉しく、勝てたなら本当に気持ちいいんですよね」 

 伊澤は、最後にこんな言葉を口にした。「勝つために頑張っているんです」

 10年ぶりのツアー優勝を思い出の地で飾れるか。かねひで喜瀬CCでの開催が、伊澤にとっての「フォロー風」になるか。