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日本プロ

<大会前日>生まれ故郷での大会に “すし石垣" は錦を飾りたい

2018年05月09日
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 今大会で開催86回目を数える日本最古のプロゴルフトーナメント「日本プロゴルフ選手権大会」。大会舞台は、千葉県長生郡睦沢町にある房総カントリークラブ房総ゴルフ場・東コース。そこから車で30分ほどに位置する大原市で生まれたのが、すし石垣、44歳だ。

「生まれ故郷での大会開催ですから、何としてでも出場したかった。プロゴルファー日本一決定戦ですし、賞金額は高く、5年の長期シード権を得られる。ツアープロとして戦って行くうえで、様々な扉をこじ開けられますからね」と、石垣は目を輝かせる。

 1997年にプロ転向し、Abemaツアー(旧チャレンジトーナメント)では通算2勝を飾っている。ツアー未勝利ながら06年に初シードを獲得し、08年まで保持。その後、右肘痛を患い、手術後の2年間はシード落ちを喫したが、11年に再シード入り。だが、13年に再びシード落ちを喫し、3度目のシード返り咲きを目標に今季はAbemaツアーで戦い続けている。

 大会開催コースで8年前に行われたチャレンジトーナメント「房総カントリーカップ2010」では、プレーオフの末に敗れた経験がある。「練習ラウンドしてみて、その時とはコースセッティングが随分違っていました。さすがメジャー大会だけあってラフに打ち込むとパーオンは至難。スコアメイクにはフェアウエイキープが必須条件ですね」。相性の良いコースで狙うのは「一発」だと豪語する。

 紆余曲折のツアープロ人生を歩んで来た。

「2度めのシード落ち理由は、3カ月間ほど原因不明の下痢に襲われ、体力も成績も落としたからです。芯を喰ったショットが250ヤードも飛ばない。そんな飛距離ではツアーで戦って行けません。出場試合数が減ったことで、練習とトレーニングには多くの時間を費やせるようにはなりましたけどね(笑)」。

 不惑を過ぎて、ツアー撤退を余儀なくされる選手は少なくない。若かりし時とは異なり、筋力も柔軟性も落ち、スイングイメージと現実にギャップが生じてしまうのが一因だ。「歳のせいだよ!と口にする人がいます。でも、僕は加齢を否定するのではなく、不惑過ぎを認め、あえて抵抗し続けたいんです。以前、ツアーでジャンボ(尾崎)さんと同組でラウンドした際、ドライバーショットが僕より前に飛ぶと、これ見よがしにガッツポーズを取って見せた。何歳になっても飛ばしに拘り続けるジャンボさんの姿勢が僕のお手本。生涯現役でありたい」と石垣。ストレッチや筋力アップトレーニングに加え、持久力をつけるために駅の階段上り下りを行なっているという。

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「普段の素振りは全力で行なっています。満振りをしてこそ、スイングに必要な筋力も鍛えられる。でも、コースでは満振りはせず、練習場での球数もセーブしています。量より質を最優先してこそ、試合中は集中力を高められるんです」

 今季のツアー優先出場順位決定戦であるクォリファイングトーナメント(QT)では、ファイナルステージまで駒を進めたが、予選をクリアーできずに166位に終わった。戦いの場を求めアジアンツアーQTにも挑み、65位の座を射止めている。

「日程によってはAbemaツアーの合間にアジアへも出掛けたい。僕のライバルはメジャーリーガーの大谷翔平!なんです。日本に限らずアメリカのプロ野球でも活躍するプロ選手ですよね。大谷のように僕は欧州でも米ツアーでもプレーする選手になるのが最大目標なんです」

 今季Abemaツアー3戦目の「ジャパンクリエイトチャレンジ in 福岡雷山 2018」最終日では単独首位でスタートしたが、優勝には一打及ばず、久しぶりの勝利の美酒は味わえずに2位に終わっている。それでも調子は持続している。

「体を壊した時期を思えば、こうしてティーグラウンドに立てていることに対して感謝の二文字しかありません。そんな僕を初シード入り前からサポートし続けてくれている所属先のゴルフパートナーへの恩返しのためにも、生まれ故郷で錦を飾りたい」

 心技体。プロゴルファー人生で最も充実した状態で迎えた今季メジャー第一戦。石垣は大会前日の練習日も雨の中、レインウエアも着ずにスタートして行った。

(PGAオフィシャルライター 伝 昌夫)