2017年12月に開催された「第19回日本プロゴルフ新人選手権大会 房総カントリーカップ」で優勝し、日本プロゴルフ選手権の出場権を獲得した阿久津未来也。ツアー出場は同年の関西オープンに続いて2戦目となった。
「100点満点よりも、100%でやる」。
メジャー大会でのプレー目標を明確に定めて臨み、自身初の「予選通過」を果たした。最終日は通算2アンダー7位タイから発進し、スタート1番ホールで4メートルのバーディーパットを決めた。3番ホールで3メートル、5番ホールでは1・5メートルのバーディーチャンスを確実にものにした。
「決勝ラウンド初日の昨日は、アイアンの距離感が合いませんでした。すべてオーバー。アドレナリン効果なのでしょうね。そのうえプレッシャーもあって距離感をうまくアジャストできなかったのです」と阿久津。メジャー大会ならではの重苦しい雰囲気とタフなコースセッティングで、普段よりもボールが飛び過ぎたのだ。
しかし大会3日目の、18ホールの経験を無駄にはしなかった。
「いつもより5ヤード飛ぶ。飛距離プラス5ヤードのイメージでアイアンショットを打ちました」。ティーショットはフェアウエイを捕らえ、ボールのライが良い状況から切れのあるアイアンショットでグリーンをキャッチする。5番ホールでのバーディー奪取後、速報版で首位に並んだことを知った。優勝を意識したわけではないが、8番ホールでボギーを叩く。9番ホールでは2・5メートルを沈めてスコアを再び通算5アンダーに戻し、ハーフターンした。13番ホールでは12メートルのバーディーパットがカップイン。ゴルフの神様からのご褒美に思えたという。
迎えた14番ホール、138ヤードのパー3。ピン位置は手前から9ヤード、右4ヤード。グリーン右サイドを池が取り囲んでいる。阿久津は、最悪の池ポチャを避け、ピンを無理には狙わなかった。手にしたクラブはロフト46度のウェッジ。「ピン左5メートルをターゲットに、グリーン中央狙いでティーショットを打ったのですが…。悪い時の癖が出てしまったのか、ピン方向にアドレスが向いていたのか、ティーショットをターゲットラインよりも右に打ち出してしまいました。イメージより10倍も右でした」と阿久津は苦笑い。ボールは池に波紋を描いた。痛恨のダブルボギー。この一打で優勝争いから脱落したのだった。
残り4ホールでスコアを伸ばせず、通算4アンダー6位タイに終わった。
「失うものは僕にはありませんし、今年の主戦場はAbemaツアーなので、ツアー出場してはずみを着けられたならと思っていました。僕の長所であるアプローチもパットも出せての結果順位なのでとても嬉しいです。4日間プレーできて本当に楽しかったです。同組で回った時松(隆光)さんの終始変わらないプレースタイル、金庚泰さんのズバ抜けたアプローチショットなど学ぶことがたくさんありましたし、今後の僕のゴルフに役立てて行きたいです」。まるで修学旅行から帰って来た子供のような表情で充実した大会4日間を振り返った。
当初の目標「100%でやる」を見事とやり遂げ「100%やれた」試合で、今後の自信につながる好結果を残した。しかも、一年後の日本プロゴルフ選手の出場資格も得た。どんな成長ぶりを見せてくれのかが楽しみになって来た。
(PGAオフィシャルライター 伝 昌夫)