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日本プロ

<3R>粘りのゴルフで3位タイの武藤、ショット後の処理能力が試される

2018年05月12日
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 通算2アンダー・9位タイから発進した武藤俊憲が粘りのゴルフで耐え忍んだ。4バーディー・2ボギー70で回り、通算4アンダー・3位タイ。首位と2打差の好位置に着けた。2016年大会以来、2年ぶりの最終日最終組でスタートティーに立つ。

 16年大会では最終日17番ホールまで2位と1打差の単独首位だったが、最終ホールでボギーを打ち、プレーオフの末、谷原秀人に頂点の座を明け渡した苦い経験を持つ。

「(惜敗したことは)忘れました。2年前は2年前ですから」と武藤。

 この日はボギーが先行した。2番パー4ホール。フェアウエイからの2打目が右方向へスッポ抜けてグリーン右カラーへ。そこからの3パット。フェアウエイからのショットをどうしてミスしたのか。自分に苛立った。表情がこわばった。グリーン方向へ向かう足取りも重い。落ち込んだ素振りの武藤を目の当たりにした帯同プロキャディー小田亨さんは、思わず喝を入れた。「そんな顔をして残り16ホールを歩くの!?」。タッグを組んで11シーズン目。これまでツアー4勝を挙げているほかに、15年には日本プロゴルフマッチプレー選手権も制した実績がある。長年キャディーバッグを担いで来た小田さんは、武藤の一挙手一投足を見逃さない。武藤の胸の内を表情から読み取れる。武藤に怒りの言葉を投げつけることは1年に1回あるかどうか。流石にその言葉が突き刺さったのか、武藤のプレーに対する姿勢はシャンとした。本来の粘り強さを取り戻した。

「何があっても決して諦めない」。

 ボールがラフに捕まったなら、いかにしてパーをセーブするか。ボギーをやすやすは受け入れない。たとえボギーだとしても、せめてパーパットが惜しくも外れてのボギーにする。メリハリのあるホール攻略でパーセーブを紡ぎ上げて行く。

「ドライバーショットが曲がってのラフからのショットは当然のペナルティー。そこからダブルボギーは決して打たず、パーを拾うか。5、6メートルのパーパットが入ってくれるとスコアも良くなりますよね」。

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 6番ホールでバーディーを奪い、フェアウエイからのパーオンショットを放った9、10番ホールでもバーディーをダッシュした。17番ホールではグリーン奥からのアプローチを寄せ切れずにボギーとしたが、18番パー5ホールでも5・5メートルのバーディーパットがカップに沈んでくれた。

「前半はティーショットが何度か林の中に入ってしまいましたが、経験値でリカバリーしパーセーブができました。風が吹いたりやんだりの繰り返しで難しかった。(明日最終日は)上位全選手に優勝チャンスがあるものの、誰が優位とかないと思う。ただ、ショットが曲がった時にそれをうまく処理できる選手が上に行けるのは確か。僕は、やれることをやるだけです。優勝を狙いに行って優勝できるものではありませんから」と武藤は試合展開をそう分析してみせた。

 小田さんの喝の有効期限は最終日最終ホールまでなのだろうか。それも気になる。 

(PGAオフィシャルライター 伝 昌夫)