「今日はティーショットがすべてフェアウエイを捕らえたかな。ピンチらしいピンチは少なかったですね」
ムービングサタデーの大会3日目。通算2オーバー41位タイからスタートした上井邦裕が6バーディー・1ボギー67でフィニッシュし、通算3アンダー・7位タイに急浮上した。
スタート1番パー4ホールでカップ右奥2・5メートルほどの難しいラインのバーディーパットが決まって好調の波に乗った。3、5番ホールでバーディーを奪ってハーフターン。後半は10番ホールでタップイン・バーディー、12番ホールは1メートル、13番ホールでは3メートルをねじ込んでスコアを伸ばした。しかし、15番パ-4ホールで寄せワンでのパーセーブに失敗し、唯一のボギーを叩いた。それでも6バーディー・1ボギー67はこの日のベストスコアだ。
スコア提出後には、大会舞台のお隣り西コースで開催された国内初のPGAジュニアリーグゴルフ表彰式に“ベストスコア達成者”として登壇。ジュニアゴルファーたちに「ゴルフは成績が良かった時が特に楽しい。その時を期待して皆さんも練習に取り組んでください」と上井は次代を担うゴルファーたちにエールを送った。
前試合の中日クラウンズでは最終日のバックナインで、一時は単独トップに立った。しかし、詰めが甘かった。17番ホールでダブルボギー、最終18番ホールではボギーを打ち、4位タイの急降下。ツアー初優勝を逃した悔しさが、時間が経てば経つほど増して行った。失意のどん底に浸かりそうな上井に、知人が森口祐子の言葉を授けてくれた。「いくら反省はしてもいいけれど、後悔をしてはいけない」。
上井は勝負どころでの「詰めの甘さ」を反省し、終盤でのボギー、ダブルボギーは悔やまないようにした。
スコアを5つ伸ばして迎えた18番パー5。ティーショットをフェアウエイへ確実に運ぶことができた。ピン位置は手前23ヤード、左6ヤード。打ち上げの2打目でツーオンを狙った。しかし、左から風が思ったほど強くはなく、捕まった球はグリーン左サイドへ真っ直ぐ飛んで行く。幸いなことにボールはギャラリーのレンタルチェアーの足に止まっていた。3打めの寄せでグリーンを捕らえ、バーディーパットは入らず、パーに終わった。
「最終ホールの2打目で、これまでの僕ならピン右サイドへ打っていたと思う。でも、今日はしっかりピンを狙って打てた。この間(中日クラウンズ)の反省を生かせたのだと思います。明日(最終日)は、自分がやれることをやって、プレーに集中するだけです」。ツアー初優勝のチャンスを逃し続けて来たプロ転向13年目の上井が、メジャー大会で反省の結果を証明する。