今年2月に50回目の誕生日を迎え、谷口徹は危機感を抱えて今季ツアーに挑んでいる。2010年大会、12年大会と2度、プロゴルファー日本一に輝いているが、12年大会で得た5年間の長期シードは昨17年で切れた。今季は賞金ランキングシード(32位)の資格でツアーに参戦している。シニアデビュー年ではあるが、まだ現役にこだわっている。それだけにシード獲得が第一目標なのだ。しかも、昨年は中日クラウンズ、日本プロゴルフ選手権と2試合続けて優勝争いを演じ、結果はともに宮里優作の軍門に降った。 その雪辱を晴らす絶好のチャンスを、奇しくも日本プロゴルフ選手権で迎えた感が強い。
大会初日、谷口は5バーディー・1ボギー68で4位タイの好位置に着けた。ディフェンディングチャンピオンの宮里も同じく4アンダー・4位タイ。同順位で迎えた2日目。スタート前のロッカールームでのことだった。
「去年とは違って、今週は遠慮しないからな。それにしても2試合連続優勝して、お中元もお歳暮も俺に送って来ないのか」と冗談まじりで谷口は宮里に宣誓布告した。それほどまでに谷口は手応えを感じているのだ。
メジャー大会ならではの難しいピン位置。少ないバーディーチャンスを確実にものにし、あとはひたすら耐える、凌ぐ、忍ぶ。そんなゴルフを展開し、谷口は3バーディー・3ボギー72で回り、通算4アンダーをキープし、順位は2位タイに上げた。
「良い位置で最終日を迎えられたらいいと思います。頑張ります」。辛口な表現をせず、いつもの谷口節を封印してロッカールームに消えた。果たして、ロッカールームで、今度はどんな言葉を口にしたのだろうか。宮里もまたパープレーでフィニッシュし、同じ2位タイ。谷口VS宮里の対決が、昨年大会に引き続き、今年もまた決勝ラウンドで繰り広げられる。