伝統と歴史ある日本プロゴルフ選手権が明日開幕する。第87回目を迎える今年、8番ホールのパー数が日によって4あるいは5に変更されるという「変則設定」が実施される。この方式は2013年の全米オープン(チェンバーズベイGC)で一度行われているが、日本では初の試みとして注目が集まっている。
8番ホールがパー5設定の場合は7212ヤード・71に、パー4設定の場合は7150ヤード・70となる。パー5に設定された時とパー4設定の時とでは、8番ホールはどんな「顔」に変わるのか。佐藤信人JGTO広報理事と槙岡充浩PGA広報理事が、ホール解説と攻略法を紹介してくれた。
佐藤
「パー4と5では難易度がまったく違って来ます。選手としてはパー5でプレーしたいでしょうね」
槙岡
「ティーイングエリアからグリーンまで打ち上げのロケーションで、パー5のティーからはおおよそ240ヤード先に大きなマウンドがありますが、選手たちはキャリーでクリアー出来ます」
佐藤
「この季節はホール左サイドの海からの南風が吹きやすく、左からのアゲンストでのティーショットを強いられます。ホール左サイドにはペナルティーエリアがあるものの、ショットラインを300ヤード先のフェアウエイ右サイドにある一本木方向に定めて打つなら、視界には入って来ませんからプレッシャーはそれ程受けません」
槙岡
「1打目の落とし所となるフェアウエイ幅はパー4でもパー5でも27・5ヤード前後。そのラインに打ち出したなら左右に多少ブレたとしてもツーオンチャンスは高まりますね。大きく左に曲げてとしてもペナルティーエリアには届きそうにありませんし、ソテツの木につかない限り、3打ではグリーンに乗せられますからパーはセーブできるでしょう」
佐藤
「開聞岳の傾斜もあってグリーンは受けていますから手前から攻めて行くのが正攻法。バーディーは取っておきたいし、最悪でもパーはセーブしたいホールになります」
◆◇ パー4設定では様相が一転する ◇◆
槙岡
「ティーイングエリアが二つ前になるパー4設定(写真)となると、およそ62ヤードも違って来るのでホールロケーションが一変しますね」
佐藤
「上り傾斜のフェアウエイが圧迫感を与え、左サイドのペナルティーエリアが視界に入り、迫って来る感じがします。風向きや雨などの悪条件が加わるとよりプレッシャーがアップしそうです。パー5の場合は悪くとも5回で上がればOKという気楽さがありますが、パー4設定では何としてでも4回でホールアウトしたい気持ちが強まるのが選手の心情。そのためにもティーショットでフェアウエイを、できれば右サイドにボールを運び、花道を使えるポジションをキープしたい」
槙岡
「アドレスを取った際のビューが全く違う。ショットのプレッシャーが異なって来る。ホールアベレージも俄然違って来ますね」
佐藤
「パー5でもパー4でもスコア『4』で上がりたい。でもその内容がまったく違いますね」
槙岡
「パー4ではフェアウエイキープが出来たなら2打目の残り距離は170から200ヤードほど。ピンに届く距離はショットの『曲がりやすさ』も秘めている。というのも、パーセーブはしたい思いとピンデッドに攻めてバーディーを奪いたい思いが入り混じり、その気持ちに整理を着けないまま打ったのではスイングに淀みが生じてしまうからです」
佐藤
「オーバーだけは避けたいですね。手前から攻めたなら、パーオンを逃しても寄せワンは可能になると思います」
槙岡
「いずれにしても8番ホールは、パー数に関わらず『4』で上がりたい思いで選手はティーに立つはずです。攻めての4なのか、必死に守っての4なのか。その精神状態を読み解きながら観戦すると、選手の一打一打の奥深さをより感じられるでしょう。最終日のパー設定、優勝争いの選手たちがどんな攻略ルートを紡ぎ、どんなスコアで上がり、バックナインにつないでいくかも見所になりますね」