5日に順延された日本プロゴルフ選手権の第1ラウンド。6アンダーで首位に立ったのは、石川遼、藤田寛之、黄重坤(ハンジュンゴン)の3名。1打差の4位タイには今平周吾、時松隆光、近藤智弘ら6名が続く。
明日6日に行われる第2ラウンド後に、天候や通過人数などを考慮した上で、7日に36ホールを実施するかどうかを発表する。
昨年大会覇者の谷口徹、終身シード選手であり大会会長でもある倉本昌弘、JGT選手会会長の石川遼が同組でラウンド。豪華なペアリングだけあって、この日最も多くのギャラリーが三選手のプレーぶりを同行観戦した。
インコース10番パー4ホールからのスタート。石川はピン奥4メートルからのバーディーパットを沈めると、続く11番パー4ホールではピン奥カラーから3メートルのバーディーパットを決めた。2連続バーディー。好調な滑り出しでギャラリーを喜ばせた。
14番、18番ホールでもバーディーを奪い、4アンダーとして首位タイの座にたどり着く。
「今日はアイアンショットの精度が高く、いれづらい距離のパットを決めてパットクォリティーの高さを感じた」。ホールアウト後、倉本をしてそう言わしめるほど石川のプレーは高度な域にあったのだ。
折り返してのアウトコース1番パー4ホール。オナーの石川が放ったドライバーショットはホール左サイドのペナルティーエリア方向へ飛んだ。「ボールはフックが強かった感触が残り、右からの風にも乗ってしまいました。結構(OB杭)ギリギリまで行ったかなとは思いました」と石川が振り返った一打。しかし、その予想に反してボールはわずかにOBラインを超えていた。
打ち直しとなる3打目のティーショットでは2番アイアンを手にし、確実にフェアウエイをキャッチ。ピンまでの残り140ヤードの4打目はピッチングウェッジで放ち、ピン右手前3メートルに着けた。ボギーパットをキッチリ沈めて、グリーンを取り囲んでいたギャラリーから労いの拍手が沸き起こったのだった。
痛恨のOBショットを放ちながら、ボギーに留められる。いつまでも痛手となって残り続けるようなミスではない。アンラッキーもあってのOBショットだと割り切れたし、スイングが以前の不振さを払拭できた現在がある。体調、体力も回復し、腰痛の心配を打ち消せたことで、精神的なタフさも取り戻した感が強い。
「スイングに関して悩んだり、考えたりする点がありません。凄い課題があるとその練習に偏ってしまい、試合にならない。それが去年くらいで終わりました」。
フェアウエイ幅がどんなに広くてもOBになるショットを打っていたこともあった。その不振ぶりからからドライバーショットの練習一辺倒に陥って約一年。試合中もドライバーショットのことにばかり気を奪われてしまう自分がいた。しかし、その期間を経てドライバーショットは復調し、「(キャディーバッグの中の)14本のクラブに対してバランスよく気を配れています」と石川。スイング感覚がドライバーからパターまで安定していると言い切る。悪天候で練習ラウンドは他の選手同様に出来ず仕舞い。初めてラウンドするコース。
「ゴルフは危機管理能力が必要だと言われますが、僕にはこれくらい(初ラウンド)が丁度いいのかと思う。(コースを)知らないからこそ、見える範囲に打って行くという危機管理能力が発動されますから」。
7バーディー・1ボギー65でホールアウトした。石川自身にとって日本プロゴルフ選手権の18ホールベストスコア。昨18年6月のダンロップ・スリクソン福島オープン第3ラウンド以来の首位。第1ラウンド首位発進は同4月の東建ホームメイトカップ以来となった。
「(日本プロゴルフ選手権は)1回は勝ちたいと思います。日本オープン、日本ゴルフツアー選手権も生涯を通して全て勝つのが目標でもあるので」。
ボギーを打った後、石川は3バーディーを奪うゴルフを展開した。スイングも体調も、そしてモチベーションもこれまで以上の高さに達しているとしか思えない。
(PGAオフィシャルライター 伝昌夫)