首位と2打差の通算10アンダーからスタートしたキムソンヒョンが逆転優勝を飾り、ツアー初優勝をメジャー大会で挙げた。
キムはスタート1番パー4ホールで3メートルのバーディーパットを決める。4番パー5ホールでは6メートルをねじ込み、首位を走る池田勇太を捕らえた。続く5番パー4ホールで寄らず入らずのボギーを叩いたものの、9番パー5ホールで1.5メートルを沈めてバーディー奪取。通算12アンダーの首位タイで折り返した。サンデーバックナインに入ると、一時は首位に4選手が並ぶ大混戦となった。
最終組のキムが17番パー4ホールを迎えた時には、通算13アンダーでキム、稲森佑貴、池田勇太が首位に並んでいた。このホールで池田がボギーを叩き、キムはパー、そして稲森は4メートルの「入りそうな」バーディーチャンスを作っていた。結果はパー。「打ち出した時にタッチが弱そうに見えたのですが、思った以上に切れたのには驚きました」とキム。
稲森との一騎打ちとなった最終18番パー4ホール。キムは持ち前のビッグドライブでフェアウエイを捕らえた。稲森の2打目がグリーンを捕らえられず、右サイドのラフへ消えた。それを見たキムは「ピンをデッドに攻めようと思っていましたが、無理をせず、センター狙いにショットプランを変えました」。ステディープレーでグリーンキャッチ、そして2パットに収めて、ボギーを叩いた稲森を突き放す形でキムは頂点に立ったのだった。
「今日は決してスムーズにスコアをまとめられたわけではありません。それでも、最後まで諦めず集中して出来たのが勝因に繋がったと思います」とキムは勝因を話す。
この優勝で日本ツアー5年シードを獲得した。将来は米ツアーでプレーすることを目標にしている金にとっては心強い橋頭保を作り上げたことになる。コロナ禍によって来日できず、韓国ツアーでは出場できる資格もない状況で、マンデートーナメント挑戦から出場したレギュラーツアーの韓国PGA選手権で優勝したという。22歳での日本プロゴルフ選手権優勝は戦後での最年少記録。獲得賞金は「貯金をして米ツアー挑戦費用に充てます」とキム。コースマネジメントと同じく、堅実さが際立つ「シンデレラボーイ」が誕生した「第88回日本プロゴルフ選手権」が閉幕した。