プレーオフに持ち込むためには、入れなければならないパーパット。ツアー通算3勝目を目指した稲森佑貴は、最終18番パー4ホールで、そのパットを決め切れず、通算12アンダー・2位タイでフィニッシュしたのだった。
キムソンヒョンと通算13アンダー・首位タイで迎えた18番ホールでのボギーよりも、前ホールでのパットを稲森は悔やんだ。
「17番(パー4ホール)のバーディーを決めていれば……最終(18番)がボギーでもプレーオフには持ち込めると思いました。バーディーパットを決めなかった時点で(キムに)利を譲った感じになってしまった。本当に、持ったいないことをしたなと思います」。
そのバーディーパットは上り4メートルのスライスライン。決して難しいラインではない。勝つためには絶対に外せない。「あまりにもラインを意識し過ぎて、思ったより手が動いていなくて、それが原因でボール1個分ショートしちゃいました」。ラインに気を奪われ、タッチが二の次になってしまっての痛恨のショート。飛ばないけれど、曲がらないショットを信条にしている稲森にとって、最終18番ホールは不利だった。キムのドライバーショットは一振り300ヤード。フェアウエイをいくらキープできる稲森ドライバーショットでも雨中での462ヤードのホールはタフすぎる。案の定、2打目はピンまで220ヤード。安全を期して5番アイアンではなく、ユーティリティークラブをチョイスし、グリーンオーバーを避けるために振り過ぎないようにスイングした。
ボールは右方向へ飛び出し、グリーン右手前のラフに捕まったのだった。「芯には当たったのですが、(雨でボールがフェース面で)滑ってしまって……やっちゃったって感じです。グリーンを外すなら右ではなく、左サイドですよね」と稲森は振り返る。3打目のアプローチはピンまで40ヤード。ロフト58度のサンドウェッジで「一か八か」で打った。ボールはピン奥のカラーに止まった。「ショートだけはしないように気を付けて、強く打ったら思いのほか切れました。タッチが悪くないので、そこは良かったかなと」。2ホール続けてのミスパットを避けられたことに少し安堵した様子だった。
昨年の日本オープン優勝で手にした全英オープン出場「切符」。7月10日に、今度は世界メジャーに向けて旅立つ。「悔しさをバネに頑張るしかないですね。ゴルフ自体、調子も出て来て、今日もスコアはアンダーで回れましたし、悪天候でのラウンドは全英に向けて良い演習になったかなと思っています。優勝できなくて残念ですが、ゴルフ的にはそんなに悪くないので頑張ります」。2度目の全英オープン挑戦での活躍に期待したい。