通算12アンダー単独首位で最終日を迎えた池田勇太。2位とは1打差。大会初日から70・67・64とラウンドを重ねるごとにスコアを縮めていた。好調のショットに加えて、パットのフィーリング、グリーンの読みが日に日に良くなっていたことを実感していた。最終日に向けて「コンディション次第、1ホールずつ上手くクリアーしたなら結果はついて来る」と前日の記者会見で言い切った。
その言葉どおり、スタートホールから8番ホールまでパーのスコアを紡いだ。9番パー5ホールで着実にバーディーを奪い、通算13アンダーとした。最終組で一緒に回る稲森佑貴、キムソンヒョンも同じくバーディー奪取し、通算12アンダーで食い下がる。勝負のサンデーバックナイン。池田は11番パー4ホールで前日17番パー4ホール以来のボギーを叩く。この時点で池田、稲森、キム、岩田寛の4選手が首位に並んだのだった。そして稲森、キム、岩田が14番パー4ホールでバーディーを奪い、通算13アンダーにスコアを伸ばしたが、池田だけが取りこぼす。首位の座を一旦明け渡す形となったが、15番パー4ホールで池田はバーディーパットを決めて再び首位タイに返り咲いたのだった。岩田がボギー連続ボギーで脱落し、三つ巴で迎えた17番パー4ホール。池田は2打目をグリーン左に外し、3打目のアプローチショットはカップを大きくオーバー。返しのパーパットは惜しくも外れ、ボギーとしたのだった。1打ビハインドで迎えた最終18番パー4ホール。首位に追いつくためのバーディーパットはカップ手前で右に反れる。
2バーディー・2ボギー71。通算12アンダー・2位タイに終わり、池田の2度目のプロ日本一はお預けとなったのだった。
「パットが下手だった。他には何もない」。敗者の口から出る言葉は少ない。それでも勝負所での痛恨ボギーについて話してくれた。「残り距離、風向き、雨の具合……力が入って左へ。フェアウエイからグリーンに乗せられないなんて」と目線を下に向けた。3打目のボールのライは悪すぎた。芝が薄く、しかもデコボコし、60度のサンドウェッジでスピンを利かせてボールを打ち出すには、クラブヘッドを入れて行くスペースがない。ランニングアプロ―チを選択したものの、ボールはピンを大きくオーバーし、パーパットを入れるには距離があり過ぎた。完璧なパットに思われたが、カップ右縁を舐め、そして外れた。
雨が降り続けた最終日。コースには3979人ものギャラリーが詰め掛け、声援を送ってくれた。それに応えられなかった悔しさもある。
「ファンには感謝しかない」。
池田は横綱ゴルフで押し切ることが出来ず、うっちゃられる形での敗戦を、今後の試合でどう生かすか。さらなる成長への糧にするしかない。敗れた一戦から学ぶことは、計り知れないのだから。