日本プロゴルフ選手権大会の第3ラウンドは、14位スタートの池田勇太が7バーディー・ボギーフリー64をマークし、通算12アンダーで首位逆転。1打差2位には5つスコアを伸ばした稲森佑貴。さらに1打差10アンダーには、キムソンヒョンが後を追う。前回大会覇者の石川遼はスコアを3つ落とし4アンダー27位と後退した。
第3ラウンド、ムービングサタデーの主役に躍り出たのは、通算5アンダー・14位タイからスタートした池田勇太だった。2番パー4ホールでこの日最初のバーディーを奪うと4番パー5ホールで確実にバーディーを取り、8、9番ホールでは連続バーディーを決めた。後半に入っても危なげないプレーを続け、スコアをさらに3つ伸ばす。結局7バーディー・ノーボギー64、通算12アンダー単独首位に立った。
「(大会)3日間、ショットがいい形で打てている。好調さを保てているから、パット(の出来)次第だとは思っていました。癖のあるグリーンだけに(ラウンドを重ねるごとに)決め切れない数が減って来てのスコア」だと池田。「グリーン上で考えることが多い。芝目に傾斜、アンジュレーション。これらに惑わされず、外すことも想定し、どうケリをつけながら回る(パットする)かだ」と付け加えた。初日のスコア70(パット数32)、2日目67(同28)、3日目64(同30)。バーディー数は初日から3、5、7と日に日に増えている。
2003年には日本オープンが開催されたこの大会舞台・日光カンツリー倶楽部。ツアープロに初めて伍した当時アマチュアの池田は、19位タイの成績を残し、ローエストアマに輝いた。「このコースは自分にとって(ゴルフ人生の)スタート地点だし、プロ初優勝が日本プロだった」と振り返る。コースも大会にも不思議な縁を感じているのだ。
今年は開幕戦から思うような成績を残せずにいた。5月上旬の「ジャパン プレーヤーズ選手権」初開催に向け尽力し、裏方として奔走し、自分のゴルフどころではなかったからだ。同選手権が成功裏に終わったものの、池田は「腑抜け状態」に陥り、自分のゴルフが出来ず仕舞いだったのだ。しかし、2週間のオープンウイークが心身をリフレッシュさせ、良い休息となり、そしてスイッチが入った。これまで日本オープンのタイトルを2回手にしている。「日本プロで、もう一度勝ちたい」。この大会に照準を定め、準備を整え始める。前週の試合では最終日に66の好スコアをマークして12位タイの成績を挙げて、今大会に臨めた。「あるべき姿が戻って来たかな。ギャラリーが居る中でプレーしないと池田勇太が出て来ない。今日もギャラリー(の声援)が背中を押してくれた」と有観客試合でプレーを素直に喜ぶ。そんなギャラリーへの恩返しは「2度目の日本プロV」、思い出のコースでの優勝しかない。
「(明日の自身の)コンディションを見極め、1ホール1ホールをクリアして行ったなら、自ずと結果はついて来ると思う」。勝負強い池田の復活を見せつける絶好の舞台は整ったようだ。
(PGAオフィシャルライター 伝昌夫)