日本プロゴルフ選手権の第2ラウンド。初日3アンダー11位スタートの今平周吾が6バーディー1ボギー・66ストロークをマークし通算8アンダーで首位。5アンダー2位スタートの芦沢宗臣もスコアを3つ伸ばし今平と首位に並んだ。1打差3位には谷原秀人、石川遼、片山晋呉、山本豪の4名が続いている。
142ストローク、イーブンパー54位タイまでの67名
が決勝ラウンドに駒を進めた。
通算5アンダー・2位タイでアウトコースからスタートした芦沢宗臣・26歳は、2番パー4ホールで躓いてしまった。ピンまで109ヤードの2打目を左に引っ掛け、3打目のラフからのアプローチショットを寄せ切れず、ボギーにしてしまったのだ。「出だしから、流れがあまり良くないな」と感じる。それでも次ホールからはしぶとくパーセーブし続けた。6番パー4ホール。ピンまで残り130ヤードの2打目を「外してはいけないエリアに打ってしまいましたが、10ヤードほどの寄せ(3打目)がチップインして良かったです」。このバーディーで流れが一気に良くなった。7番ホールで8メートル、9番ホールでは1メートルのバーディーパットを決める。10番パー4ホールで3パットのボギーを打ってしまうが、15番ホールで再びチップインバーディーを決め、16番パー3ホールでは5メートルのバーディーパットをねじ込んだ。スコアを通算8アンダーにまで伸ばせた。
芦沢はスコア速報ボードで自分の順位を確認した。自分の名が最上段に掲げられている。首位タイ。17番パー4ホールをパーとして迎えた最終18番パー4ホール。ティーショットでフェアウエイを確実にキャッチする。グリーン左サイドのピンまで残り160ヤード。9番アイアンを選択し、ドローボールでピンに絡めるショットをイメージした。バーディー奪取で単独首位に立てるチャンス。大会2日目にして早くもアドレナリンが出たとは「思いたくありません。単に力が入ってしまっただけです」と芦沢は苦笑い。ボールはグリーン左奥のエッジとラフの境目に転がり落ちた。ボールの真後ろにはメジャー大会ならでは長い芝草があった。決してやさしいアプローチショットではない。スピンを効かせたショットが打ちづらい。それでも、ピン3メートルに寄せ切った。そして芦沢はそのパーパットをねじ込むと右手拳で地面を何度も叩くような力強いガッツポーズを取ったのだった。
大阪府で生まれ育った芦沢はPGAティーチングプロである父・和久から本格的にゴルフの手ほどきを受けた。小学4年生の時だった。同志社大学ゴルフ部時代には関西アマチュア選手権2位、日本学生ゴルフ選手権5位などの戦績を残している。2016年にプロ転向した。本大会には昨20年の最終予選会34位に入ったことで出場している。
今年はツアー出場予選会に失敗していたことから、本大会に照準を絞って来た。前週のAbemaTVツアー大山どりカップでは5位タイとなり、その好調さも持続させている観もある。「ロングヒッターではなく、アイアンショットでバーディーチャンスを作っていくタイプです。ティーショットでフェアウエイをキープできているのが、好スコアにつながっていると思います」。ツアーで首位に立ちながらも謙虚な話しぶりが、その人柄を表している。
リーダーズボードの左サイド最上段にその名を掲げ、この日みせた18番グリーンでのガッツポーズを36ホール後も再現したい。