今流行りのゴルフスイングと言えばGGスイングだが、ゴルフクラブにもトレンドがある。シャフトを例に挙げるなら「軽くて硬い」モデルがツアー界で流行ったかと思えば、46インチ以上の長尺が「飛ぶ」と人気を集めこともあった。
前大会覇者の石川遼が、5バーディー・1ボギー67でフィニッシュし、首位と2打差の7位タイ発進を遂げた。「良いゴルフが出来て、プレーしていて楽しかった」とリモートインタビューでにこやかにこの日のラウンドを振り返った。
インコースからスタートした石川は、18ホール目の9番パー5ホールのティーショットを右林方向へ打ち出し、ボールが木に当たってOBエリアに消えた。打ち直しのドライバーショット3打目をピンまで162ヤード地点に運び、8番アイアンの4打目をカップ右手前8メートルに着けた。パーパットを決め切れず、ボギーでのホールアウトとなった。「最後のドライバーショットも悪くはありませんでした。フェードが少し掛かり過ぎたかな。それでもボギーで上がれたので明日以降も上位争いに着いて行けるように頑張りたい」。言葉に力強さがあった。
全米オープンに挑み、帰国して一戦目の石川には手応えがある。全米オープンからドライバーのシャフトを45・5インチから47・5インチに長尺化させた。シャフトが長くなればスイングアークが大きくなり、ヘッドスピードが速まることで飛距離アップが望める。その一方で長くした分だけショット方向安定性に欠けやすいというデメリットもある。しかし、安定したスイングプレーンなら、その短所を補えるというのが石川の判断だったようだ。「シャフトのブレはヘッドの軌道に表れますが、よりよいスイングプレーンが(自分には)必須だと思っているので、スイング作りのバロメーターにもなる」と石川。 シャフトを1インチ長くしてヘッドスピードが1m/s速まると飛距離が6、7ヤードはアップする計算になるという。石川の場合、机上の計算ながら12~14ヤードも飛距離が伸びたことになる。2打目に手にするアイアンは1、2番手短くなり、それだけピンに絡めるショット率も高まる。以前は使いこなせなかった長尺ドライバーを試合で振り続けられるまでスイングプレーン精度もアップしたようだ。相乗効果でアイアンショットの切れにも磨きが掛かった。大会連覇へ、石川は着実に歩を進めている。