堀川未来夢が8バーディー、1ボギーの64で混戦を抜け出し、通算14アンダーにスコアを伸ばして首位に立ち、日本プロタイトルに王手をかけた。3打差で嘉数光倫(エナジック)が追走する。5打差3位グループには池村寛世(ディライトワークス)、吉田泰基(東広野GC)、安本大祐(テラモト)がつけている。
自分でこう言えることは、プロといえどもそうあることではない。「15番(ボギー)のセカンドが唯一のミスショット。他は全てマネジメント、事の運び方が上手にできました」という堀川の顔は、自信たっぷりという表現が当てはまるだろう。
特に挙げるのがパッティング。つい最近までイップス的な症状に悩んでいた。5週間のオフの間に矢野東のアドバイスがあり、その他にも「7月初めに丸山茂樹さんと回る機会があって、パッティングの向きとかを教えてもらった」という。それを自分なりに「はめ込みながら」今のパッティングスタイルになった。「自分で聞きたいことがあった時は、質問を投げかけて聞くようにしています」。聞く耳を持っている結果だ。
「だから、入っても入らなくても、ストレスがないんです」と、多くの選手が苦しんでいる、アンジュレーションの強い、広いグリーン上で、むしろ楽しんでいるように見える。
この日は7アンダーの首位グループに4人がひしめく混戦の中でスタートした。1番で1.5メートルを入れ、2番では右に切られたピンの狭い右のスペースに落として2.5メートルにつけた連続バーディーで抜け出した。3番では左バンカーの奥のラフから7メートルと寄せきれなかったが、それを決めてパーでしのいだ。その後も2バーディーを重ねる。
前の組をいく嘉数がバーディー量産で一時は首位を奪われたが「行っているのは知っていました」という。嘉数がボギーで11アンダーに落ちて進撃が止まった後からが、堀川の時間になった。13番でカラーから5メートルのバーディーを決めて12アンダーとして、嘉数を抜き去る。14番では10メートルほどのロングパットを決めた。唯一のミスをした15番で落としたが、すぐに16番で1メートルにつけ、17番で7メートルを入れるなど、ギアの入れどころが絶妙だった。
2位嘉数に3打差は、難コースではセーフティーリードではないのは確かだ。ただ、経験値では上回っている。2019年日本ツアー選手権で日本タイトルは取っている。「あの時は初優勝もかかっていたのでその重圧もあった。その前に2回こけていたんで、優勝してほっと一安心しました。今はそんなプレッシャーはないですね」という。最終日、目標スコアを設定しているという。「3アンダーぐらい。感情の起伏をつけたくないんで、最終日とかは気にせず、平均点を考えてやりたい」。今の堀川には余裕が漂っている。
(オフィシャルライター・赤坂厚)