日本プロゴルフ選手権大会の第2ラウンドは、難コースで全体のスコアが伸び悩み、大混戦の展開になった。前日のサスペンデッドの残りホールを行った後に第2ラウンドをスタート。安本大祐(テラモト)が後半のアウトで1イーグル、5バーディーの7アンダー29をマークし、この日66で通算7アンダーの首位に浮上した。出水田大二郎(TOSS)、堀川未来夢(Wave Energy)、嘉数光倫(エナジック)も7アンダーと首位に4人が並んだ。1打差に前日首位の吉田泰基(東広野GC)がつけ、2打差で19歳の久常涼(SBSホールディングス)ら4人が追走している。通算1オーバー52位タイまでの64人が決勝ラウンドに進んだ。
175センチ、50キロの細身、安本大祐が後半アウトを7アンダー29で回る好プレーで首位に浮上した。
2アンダーでインからスタートし、2オーバーして貯金がなくなった。「1番のパー5は絶対にとらないと予選落ちするかもしれない」と思った。第1打をフェアウエーに置き、第2打残り202ヤードを6番アイアンで右6メートルに2オン。イーグルを決めた。これで乗った。2,3番で3メートルを入れる連続バーディー。381ヤードの6番ではドライバーで残り30ヤードまで飛ばし「入りかけた」と5センチほどを指で示すバーディー。8番では奥1メートルを入れた。
ここまでアウト6アンダー。最終9番、フェアウエーから残り164ヤードの第2打で「20台は出したことがないスコアなんで、やっぱり意識して…。余計なこと考えて、セカンドで固くなってダフってしまった」と、2段グリーンの下の段へ。上の段のピンまで「16、17ヤードありました」という。「こんなのが入らないと20台なんて出ないよな」と思いながら、何も考えずに打ったら見事カップイン。初の20台、29を達成した。優勝争いに加わるビッグスコアに「メジャーの舞台で出せたのはすごく大きい」と自賛した。
日本プロでの9ホール29は最少スコアで、記録に残る1991年尾崎将司(プレステージ、FRイン)以降では95年佐々木久行(夏泊、FRイン)、2006年中田範彦(谷汲、1Rイン)、2013年金亨成(総武、FRアウト)、 2015年野仲茂 (太平洋江南、1Rアウト)、同年武藤俊憲(同、1Rイン)がマークしている。
今週月曜日に東北福祉大の先輩で「尊敬する」池田勇太と食事をした。「コロナが気になる方なので『2人だけでお願いします』って、久しぶりに2人で話せました」という。「最近沈みがちだから、もう少しゴルフを楽しみなさい、と。運が逃げるから下を向いてゴルフをするんじゃないと言われました。お客さんが嫌な気持ちにならないようにやれと。その言いつけだけは守ってやりたいです」。その心がけが生んだスコアかもしれない。
いつも話題にはなるのがその細身。食べても太らない?「変わらない。食べても無理かなと。というか、食欲が皆さんとは違って、ないんです。食べることのストレスが、ダイエットする方のストレスと同じ感じ」と、笑う。デメリットは「冬はめちゃくちゃ寒い。脂肪もないので筋肉もつかない。トレーニングをしても手ごたえがないんです。ケガをしないように心がけています」と、悩みも多いそうだ。
「きょうは木に当たってフェアウエーに出て来たり、運もあった。でも、いいことばかり続くわけじゃない。苦しい時間もくると思うし、それを耐えれば思いがけないラッキーも来ると思うので。リーダーズボードも一切見ず、一打一打に集中して、楽しく残り2日間やりたい」。下を向かずに運を引き寄せたい。
(オフィシャルライター・赤坂厚)