絞られたフェアウェイに、足元がすっぽりと隠れるほどの長いラフ――。公式戦ならではの難しいセッティングと対峙すると、ティショットはフェアウェイキープを優先してマネジメントする選手がほとんどだ。
しかし、池村寛世は違う。
「ドライバーでグリーンの近くまでいってしまえば、ラフが深くてもどうにかなる。同じラフなら、刻んでラフに入れるより、ドライバーで飛ばしてラフに入れた方が戦えるというのが僕の考えです」。
初日のパー4、パー5のティショットで刻んだのは2、3回。ほとんどのホールでドライバーを握り、果敢に攻めていった。
「ティショットはラフにいくものだと思っているので、ラフにいっても落ち込まず、平常心でプレーできました」。
このマネジメントができるのは、ドライビングディスタンス3位(310.94ヤード)という飛距離のアドバンテージがあることが要因のひとつ。また、「距離がそこまで長くなければ、アプローチもアイアンも、深いラフからグリーンに置ける」と、ラフからのショットに自信を持っているからだろう。
昨年の同大会は4位タイ。開催コースは異なるが、メジャー仕様のコースセッティングと池村の相性の良さは実証済みだ。
初日に好スコアが出たもうひとつの理由について、“昔の相棒との再会”を挙げた。「好きだった4年前のドライバーに戻したことが大きいです。林まで曲げることがなく、自信を持って振れました」。
2021年、22年と1勝ずつ挙げている池村だが、今シーズン前半戦の最高位は「BMW 日本ゴルフツアー選手権森ビルカップ」の15位タイ。出場した10戦中、予選落ちが4回と本来の実力を発揮できずにいた。
「前半戦に使っていたドライバーは、まだ調整がうまくできておらず、林にいくこともありました。スイングを整える意味で、2週間前に前のドライバーに一旦戻したのですが、このドライバーなら戦えるという気持ちになっていました」。
明日以降の戦い方について、「ビッグスコアが出ないコースなので、焦らずにいきたい」と展開を冷静に分析。「しっかりとマネジメントすれば、上位争いはできる。メジャーに勝ちたい」と、自身初のメジャー制覇に意欲を見せた。