ゴールド(開催年68歳以上)初出場の海老原清治(68)が最終18番で第2打を直接入れるイーグルを決め、1打リードされていた松本紀彦(73)を逆転、通算イーブンパーで初優勝を飾った。
「初めての日本タイトル、こんなことが起きるなんてね」と、さすがに少し興奮した様子。左の土手に打ち込んでの第2打。ボールは浮いていたが、つま先下がりで「グリーンの落としどころまで141ヤード、そこから転がっていくと思った」と8番アイアンで打った。アンジュレーションの強いグリーンを転がり、いったんボールが見えなくなった後、奥のピンに向かっていき「よし、バーディーチャンスだと思ったら、ガシャーンってね」と振り返った。
「青木さんがハワイでやったときの気持ちが分かったよ」と、師の青木功が1983年ハワイアンオープンで最終ホール第2打を直接入れてのイーグルで逆転優勝したシーンを引き合いに。1980~90年代、青木功の下に集まった「青木ファミリー」の番頭と呼ばれた海老原らしかった。「こんな劇的なことがあるんだねえ」と笑顔を見せた。
1アンダーで3人並走の首位で出たが、1番でいきなりトラブル。第1打がカート道に当たって跳ね、林の中に。出すだけで結局4オン、3パットもしてトリプルボギースタート。ただ「ほかの選手もボギーでそう離されていなかったので、頑張ればと思った」という。途中からは1組前の松本が浮上し、一時は首位を奪われた。17番で通算1オーバーで松本と並んでいることを知ったが、第1打がバンカー土手の上に止まり、足はバンカーという難しいライで出すだけに終わり、第3打もグリーンオーバーして、ボギーパットが1・5メートル残った。「これを入れないと負け」というパットを入れたのが最終ホールに結びついた。
日本タイトルへのこだわりが強い。レギュラー時代からシニア、グランドシニアと3回のチャンスを逃し「ここ(ゴールド)で勝たないと1つもなくなる」と意欲は人一倍だった。「今年は関東と日本タイトルが取れた。何年か、これを持続していきたいね」と、念願のタイトルを手にしてご機嫌だった。