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シニアツアー

【いわさき白露シニア・2R】田中は「倉本先輩」とプレーできた喜びでスコア爆発!7アンダー単独2位

2017年11月25日

 田中泰二郎(54)が「想定外」のスコアに戸惑いと照れを見せる。スコアカード提出所。「田中選手、34、33で67ですね」という確認の声に「よくわかんない。リアルなスコアじゃないんで」と笑いを誘った。

 「どうしたんですかね。4年に1回ですかね」と、報道陣に囲まれての第一声。「変なミスをしても、ばれない程度に終わっている。ショートゲームがいい状態なのかなあ。パットなんて30年間苦労していたのに、今週だけうまい人みたいになっちゃっている」と首をかしげる。5打差ながら2位につけた実感がわいてこない様子だ。

 言葉通り、この日は「うまい人」だった。4番で5メートルを沈め、5番では1.5メートルにつけて決めた。8番で2.5メートルを沈めた直後の9番。第2打が手前バンカーに突き刺さって出すのが精いっぱいで、12メートルを必死の2パットボギーにした。

そのお返しか、11番では12メートルのパットが入る。13番で2.5メートルを入れ、最終18番パー5では2オンしたもののピン上20メートルが残った。「右に行くか左に行くかなんてわかんないし、あの辺と思って打った」のが、80センチほどに寄ってバーディーでフィニッシュした。

この日良かった要因は?「倉本会長と30年ぶりぐらいに一緒に回った。最後に回ったときは、大会の記憶は定かじゃないんですけど、予選ラウンドで組んでいただいたんです。でも、初日に尿酸値が高くなって動けなくなって棄権してしまった。尊敬する先輩と一緒に回れるのが昨日からうれしくて、今日は純粋にすごく楽しかった。こんな楽しいのは生まれて初めてかも」。尊敬する日大の先輩とのラウンドで気持ちが高揚していたようだ。「いつもこの気持ちで回ればいいんですよね」と笑う。

80年には世界ジュニア15-17歳の部で優勝、日大では84年に日本学生を制している。86年にプロ入りし、ミズノ新人で優勝。大型新人として期待されていたが、パッティングに苦労して、その後のレギュラーツアーでは思うようなプレーが出来なかった。87年の賞金ランク56位が最高で、ツアー未勝利。シニア入り後もシード権を獲得できていない。今年も目下賞金ランク70位と下位に沈んでいる。

そんな「自分」だけに、今回の成績への戸惑いもうなずける。「明日(最終日)も一緒のことは絶対できないと思う。欲はありません。俺なんかより努力している人はいっぱいいるし、いつも上位にいる人はドキドキ中毒な訳で、その刺激の中で切磋琢磨している。明日はそういう空気感の中に束の間お邪魔して、ありがたくドキドキしながらやります」。

54歳にして巡って来た飛躍のチャンス、何とか生かしたい。

(オフィシャルライター・赤坂厚)